【男主】Ωの俺がαの後輩に愛されるだけ【まふまふ】 (ページ24)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:477,358 hit

２４話ページ24

・

本当に怖かった。

知らない相手に名前を知られてて、体格差とか体調の悪さもあって抵抗できなくて、もはやされるがままだった。

「俺がっ、椎名ゆきだから、なんだって言うんですか…」

絡まった手が汗ばんで更に気持ち悪くなる。

早く離れたい。だけど俺が降りる駅はまだまだ先。

人でキツキツで動ける気もしない。

「ずぅーっと話には聞いてたんだけど、やっぱ綺麗な顔してるね。しかもΩだってのもホントだなんて、俺ついてるなぁ」

「っな、んなんだよ…」

下唇を噛んで俯く。Ωはやっぱり餌なのか。

結局はこうなる運命か、悔しくて血が滲むほど噛んでいた。

相川くんの気持ちがよくわかった。

自分の決められた運命に逆らうことは出来ない。

どんなに願っても俺がαになることはなければ、βにことも出来ない。

つまり、ここで襲われることも運命の一つ。

俺がかんでいることに気づいたそいつは、自分の指で傷口をなぞり、それを自らの口に含んだ。

直で触られたせいでピリピリと痛かった。

「…っ血も美味いのか…！やっぱり凄いなぁ…もしかして運命の番だったりしてねぇ…？」

「…っそんなわけ、ないだろ！？お前なんて、運命じゃない、俺には、俺には、あいかわ…」

許せなかった。

簡単に運命の番と名乗ったことを。

今まで告白された時も、毎回運命の番だと言われた。だから、それは違うと断っていた。

みんないい人で、そう言うと折れてくれる人が大概だった。

だが、そいつは止まらなかった。

あろう事か首筋を舐めてきて、恐怖に震える。

「っひ、やめ、そこはっ、やめろ、や…」

「…んん、色んな奴の味がする。可愛そうだねぇ…みんなから狙われる美人は」

「っく、はぁ、とま、とまって…」

生憎帰宅はいつも一人なため、誰かが助けてくれる兆しはない。

俺の周りの人はみんなスマホをいじって背を向けている。イヤホンもつけているから音も聞こえなければ、姿も見えないだろう。

首に気を取られていた俺は、着々と進んでいく手に意識が回らなかった。

気がついた時にはシャツの中に入っていて、体のラインをなぞられる。

「っあ、あぅ…くすぐった、」

「程よく引き締まってていいね。燃えるなぁ…」

「馬鹿なこと、言うなっ…も、はなせ」

そのままぺたりと胸に当てられて、ひんやりした感覚に反応してしまう。

その反応に満足しているのか、更に息が荒くなっていくそいつに泣きそうになった。

・