【テニスの王子様】この淡い物語に終止符を。【短編集】 (ページ6)

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「あ、いた！」

幸村君は病院の待合室にいた。幸村君は私にまだ気付いていなようで喋りかけようとしたが、携帯を耳に当てていて電話中のようだったので邪魔しないように終わるまで待つことにした。

「～～、ああ、Aのこと？」

「！？」

不意に名前を呼ばれてびっくりした。
幸村君って私のこと名前で呼んでたっけ。…呼んでいたような気もするけどあんまり深く考えてなかったな。
そう思うと顔が段々火照っていく。そもそもなんで私の話題になったんだ。
気になったので電話の内容を耳を澄ませ聴く。

「そうだね。＿＿早く消えてくれないかな。」

一瞬耳を疑った。
幸村君が、そんな…
衝撃的な言葉を聞いて頭が上手く回らない。
幸村君がそんなこと言うはずない、と心に言い聞かせた。
けれど、よく考えてみれば、自分が手間暇かけて育て上げた努力の結晶である花を、なんの躊躇もなく食べる私を見ているのはあまりいい気分では無かったのではないだろうか。

幸村君にとって私はいらない存在？

胸が苦しい。呼吸もままならなくなり、手足も思うように動かなくなってきた。

死ぬって、こんなに単純なことだったんだ。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「先生！Aは、Aは…！」

「…残念ながら…。」

「そんな…。」

幸村はその場で膝から崩れ落ちた。

「君のお陰であの子の余命はとても伸びていた。たった1ヶ月の余命が一年まで伸びていたんだ。この結果で花食症を治せるようになるかもしれないんだ。」

医者は幸村を慰めるように言ったが、幸村はAに美しく咲いた花をただ見つめるだけだった。

『花食症』
花しか食べられなくなる病気。
病にかかると体に蕾が植えつけられてしまう。
この蕾が花を咲かすと死に至る。心に負荷がかかると蕾が咲くのが早くなってしまう。激しい運動や過度なストレスが主にあげれられる。

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毎度毎度更新が遅くてすみません、ラードです。
今回は奇病をテーマに描いて見ました。

『ハマナス』と言うのが今回の題名でした。
ハマナスは「悲しくそして美しく」という花言葉を持った花です。幸村のお話だったので花言葉を使いたいなぁと思い、検索をかけたところ、なかなかこのお話にぴったりな花言葉が出て来ました。
二連続立海でしたので、次は他校のお話にしたいと思います。