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あの世≠常世 ページ6

覚醒した美琴の目にまず飛び込んできたのは、暗闇ではなく、大きな虎のようなものだった。
「きゃあ!?」
喰われる、と思って飛びのいたが、そんな様子は微塵も感じられない。
むしろ、美琴のそばに寄ってきて、クーン、と鳴いて見せた。

「い、犬みたい……」
少し、本当に少しだけ、可愛いと思った。

が、あくまで相手の見た目は虎だ。
油断できないけど、わたし何も持ってないし、対抗できない。
っていうか!
「ちょっと、さっきの金髪さん!?」

人を連れ去るだけ連れ去っておいて、なんなの?
と思わず怒鳴りそうになったところへ
「……あら?」
同じく金髪の……まだ八歳ほどのかわいらしい少女が現れた。
周りに白い燐光をまとっている。

「さきほど、金髪の……ええと、少し無愛想で無礼な男が連れてきたのはあなたかしら?」
無愛想で無礼とは、なかなかのいいようだが、それはさっきの男を指すのだろうと思い、
美琴は少女にうなずいた。
「ごめんなさいね、この虎はわたくしのしもべよ。後ろに乗って」
美琴を強引に連れ去った男とは違い、丁寧な対応の彼女に美琴は警戒心を解いた。

「あ、ありがとうございます。わたし、白鳥美琴って言います」
「美琴さんね。わかったわ」
少女はかわいらしく微笑み、虎に
「ここからすぐにある、関井に向かってくれる?」


虎は首を少し動かし、すぐに全速力で走りだした。
少女は慣れているのか、普通の顔をして虎に座っていたが、美琴が危なっかしいのを見て
しっかりと支えてくれた。
「この子、あんまり人に慣れてないのかも。でも懐っこいのよね」
「そ、そうなの?」
虎は少し速度を落として、またクーン、と鳴いた。


そして虎が、関所のようなところのすぐそばで足をとめた。
「やっと関井に着いたわ。美琴さん、こちらに」
「え、あ、うん」
関井、というのが街の名前だろうか。

*→←常世?



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さな(プロフ) - あと、読者の私からすれば行間を開けることや、登場人物の詳しい特徴…または情景描写が使われていたらもっともっと良くなると思います。初めましてのくせに生意気ですいません! (2020年1月1日 1時) (レス) id: d6e98db13a (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - はじめまして。この作品がランキングの上位に入っていたので読まさせていただきました。オリジナル作品は基本的に目を通さないのですが、このお話はすごく先が気になります。 (2020年1月1日 0時) (レス) id: d6e98db13a (このIDを非表示/違反報告)
陰月。(プロフ) - 名無し24146号さん» コメントありがとうございます<m(__)m>確かにそうですね……人の様子がわからないと内容が分かりにくいということになりますね。意識してみようと思います。 (2019年2月17日 11時) (レス) id: 83a189451f (このIDを非表示/違反報告)
陰月。(プロフ) - 十二国記さん» コメントありがとうございます<m(__)m>ええと、アンチスレというのがよくわからないのですが、評価の荒らしというものがあるという事ですか? (2019年2月17日 11時) (レス) id: 83a189451f (このIDを非表示/違反報告)
陰月。(プロフ) - めぐっぽいど(偽物)さん» ありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年2月17日 11時) (レス) id: 83a189451f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:陰月。 | 作成日時:2019年2月1日 11時

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