情報学専門学校【アイビス】

迷彩技術 ページ20

荒波はなおも続ける。
「ちなみに、今ここの存在に気付ける人は迷彩技術を使える人だけ」
「迷彩技術？」

私が聞き返すと、なぜかうれしそうな顔をした。
「そうそう。ちなみにこれ大変なんだからね？」
「何がどう大変なんです？」
私はIDEAを起動させようとしてやめた。

おそらく今の荒波を刺激するようなことはできない。
仮にIDEAを起動したらすぐにサーチしてシャットアウトするだろうし。

「うーん、迷彩技術ってキホン独学なの。だから知ってる人は少ないんだよ」
「……それで？」
「迷彩技術を使えば、ほかの人からはこっちの様子がわからないんだ！」

……何気にやばい発言だ。
もし、ここで何かされても、誰も気づけない……。

私が絶望的な気持ちになると、荒波は笑った。
「そう、その顔だよ見たかったの！あー、本当にうまくいってラッキー」



結局抜け出せないまま一日が過ぎた。
というのも荒波の発言だから信じていいのかどうかも怪しいけど。

「そうそう、僕が怖い人っているんだよ」
「誰ですか」
半分自棄になりつつ聞くと
「ファイだよ。氷坂」
何でだろう？美香じゃなくて？
「氷坂はなんとなーくだけど僕の玲香ちゃんを狙ってる節があるから」
やっぱりそう来たか。

だから私はこう返した。
「技術的に危ないのは私の先輩ですよ。結衣先輩とか」
そういうと
「あー、中村結衣？確かに危ないかも」
呼び捨てかよ。先輩なのに。

「玲香ちゃんってテストの出来悪いんだねえ。そこも可愛いよ」
「褒めてないでしょ」
「褒めた褒めた。全力で。だってそのほうが可愛いでしょ？抜けてる感じして」

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