情報学専門学校【アイビス】

オモテとウラ ページ18

……誰かこの状況を説明してほしい。

何があったのかはわたしにもよくわからない。
ただ一つ言うならば、ここはわたしの部屋ではない。



氷坂によくわからない言葉を残された後、わたしと美香は途中まで一緒に帰った。
「今日の情報の授業はちょっと難しかったかもね」
ちょっとどころではないんだけど……。
美香からすれば基礎ができればすべて応用、らしい。

だがわたしはアイビスに入学したは良いものの、成績は良くて下の上。
基礎でさえも危ういような……。
いや、慣れればできるとは思うけど。

「個人的には計算式が長いと嫌になる」
「それはさすがに思うけどさ、やっぱり数式も対応してるんだよ」



数式と情報化の一般理論を説明してもらったところで、美香のお姉さん――安里先輩を見つけた。
「あら、玲香ちゃん」
「安里先輩お久しぶりです、今ちょうど帰りでして」
美香も人づきあいがうまくなったのね、と笑っている安里先輩を一瞥して、美香はそのまま歩き出した。
……まだ、慣れてないのは美香も一緒じゃん。





美香と別れたところで、人通りの少ないところを歩いていた。
IDEAを起動させて、教科書ファイルを開いて、メモを取っていたところまでは覚えているけど……。
何が起こったのかと考えていると、
「ようやく会えたね、笹原さん」

なぜか荒波慎吾が現れた。
「え、なんで？」
驚きで変な声しかだせないわたしを見て、
「ほんと苦労したんだよ。君ってば、僕がアプローチしてるのに気づいてくれないし？」
よくわからない。

「……君の周りは、邪魔だけど」

ぼそっと何かをつぶやいたその時の顔は、般若のようだった。
けれど、またとろけるような笑顔で
「とにかく、君は僕のお姫様なんだから。駄目だよ？目移りしたら」


……とりあえず、逃げ出したくなるのを抑えた。

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