竜族の少女は鳥籠の中 (ページ10)

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『うん、それも…女神の始祖とも言える、精霊の王との子なんだから…』

アンネリーゼは夜空を見上げ、悲しそうな声で言う

『同族からもあまりよく思われてなかったけど。なんせ、精霊との子
　だし…私は魔でもあり、聖でもある。どちらにも属せない種族。
　誰からも受け入れてもらえない……だから3000年前の二人の考え
　には驚いた。
　もしかしたら、もう無駄な血が流れなくても済むかもしれない、私も
　受け入れてもらえるかもしれないって本気でそう思った…けど、
　父上は母上が亡くなってから狂ってしまった…戦いをして母上が
　いない悲しみを紛らわせるしか、方法を知らない無知な人…』

夜の風を吹かせ、妖精の揺籠を揺らす

『父上は母上が唯一残した力の私を聖戦の道具とした。父上はそれまで
　私に興味なんてほとんど示さなくて…母上は「本当は優しい人なの」
　って言ってたけど、どうしても理解できなかった。
　母上が私の世界で、全てだった。
　たとえ父上に興味を示されなくたって、私の存在意義は母上が示して
　いてくれた』

メ「だが、自分が呪われたことにより、母は力を使い果たしてまで自分を
　助けようとした」

『……』

今日の夜空はアンネリーゼの傷心を慰めているかのようにキラキラと輝いていた

『……分かってるじゃない…私には半分精霊の血が流れてる。父上が時を
　操る権能を持っている。
　父上を説得できればなんとかなるかもしれない……けど、あの人が
　そんなことをするようには思えない』

メ「それは俺も同感」

『私は「元素」を操る。それだけ……ただでさえ叔父様にバレたら
　大変なのに…』

メ「じゃあ一緒に竜神を探すか？」

『えっ？』

アンネリーゼはいきなりで変な声が出る

メ「俺らは今、呪いを解く方法を探してる。もしかしたらおまえの呪いも
　解けるかもしれねえ。悪くねえだろ？」

『…私の呪いは解けない…叔父様でも、最高神でもない、竜神に
　かけられた呪いだから…』

メ「だから竜神を探そうって言ってるんだよ。もしかしたら親子の仲が
　良くなるかもだろ？」

『それは絶対にない。あの人は私を兵器としか思ってないもの…それに、
　誰もそんなことは望んでない』

メ「オリジン(お前の母親)は望んでたぜ？」

『！』

夜の風が一段と強く吹く

そしてしばらくの沈黙

メ「俺とエリザベスによく話してくれたよ」