竜族の少女は鳥籠の中 (ページ45)

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過去編ページ45

きっと……私が思っていたよりもずっと遠い時のことだと思う

私は父上に愛されたかった

それを誰にも打ち明けたことはなくて、ずっと……ずっと苦しかった

誰も認めてくれなくて、血筋を疑われて、父上には幻滅されて、唯一私の味方でいてくれた母上は、私の呪いを解くために力を使い果たしてしまった

そんな罪悪感からも、贖罪のために父上の命にはずっと従ってきた

それが当然で、私の使命でと思ってたから……

リ「……そんなんバカらしくない？」

リヴィの言葉には本当に驚いた

私にとっては当たり前すぎることを、リヴィはだるま落としのように叩き壊したのだから

『どうしてそう思うの……？』

リ「だってそれ、君が償う必要ないでしょ」

『そんなこと……！……だって、母上は私のせいで死んじゃったんだよ？
　父上は母上がいなくなったせいで狂っちゃったんなら私の責任でも
　ある』

リ「だから、それがおかしいんだって」

『え……？』

リ「君の母親が死んだのは、確かに君が関係しているかもしれない。
　でも君のお母さんはアンにそう思ってほしくて力を使った
　わけじゃないと思うんだ。
　だってそうじゃなかったら使い果たすまでしないと思うからね」

『！、そっか……』

アンネリーゼは膝を抱えて、地面をジッと見つめる

すると隣の幹に座っていたリヴィウスがピョンと飛び降りてアンネリーゼの顔を覗き込む

そしておでこを軽く弾いてニコッと笑った

リ「眉間に皺が寄ってる。思い詰めるのはあんまり良くないよ」

『うん……』

リ「……良い？」

有無を言わさずアンネリーゼの左頬に手を添えて顔を近づけた

そしてアンネリーゼの唇にそっとキスを落とす

アンネリーゼはいきなりで顔を沸騰しそうなほど真っ赤に染めて、口を手で覆った

『！///、いっ、いきなり……』

リ「欲しくなっちゃった」

『もう…調子いいことばっかり……でも、ありがとう。なんか元気
　出てきた』

リ「なら良かったよ」

リヴィウスはフフンと鼻を鳴らして何だか機嫌が良さそうだった