P.31 (黄) ページ32
Aside
｢くま、ちゃんですか？｣
｢え、は、はい｣
｢...こやまそらです｣
｢そらくん！？｣
電話越しに聞こえてきたか細い声は、心做しか震えて聞こえた。
｢くまちゃんっ、あのね、お兄ちゃんがっ...｣
｢慶ちゃん？どうかしたの...？｣
｢お兄ちゃんが、帰ってこないのっ...｣
｢えっ？｣
｢いつもそらが起きたら家にいるんだけどっ、今日はいないのっ...
こんなことはじめてなのっ、
お兄ちゃん、いなくなったらどうしよう...ううっ｣
｢よ、よしよし...落ち着いて...？わ、私たちが探してくるから、もし慶ちゃんが帰ってきたらまた電話してくれる？｣
｢ぐずっ...うんっ、ありがとう｣
電話を切り、落ち着け...と自分に言い聞かせるように何度も唱えて、
母｢ちょっとA！？｣
制服にも着替えずパジャマの上からコートを羽織って一目散に家を出た。
ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ
増｢んだよー朝から｣
｢慶ちゃんがいなくなったって、そらくんが...｣
｢.....探そう｣
｢うんっ、こころは慶ちゃんの家の周りみてくれるって｣
｢分かった｣
慶ちゃんの行きそうなところ＿＿＿なんて、分かるわけなかった。
私達は、慶ちゃんのことを何も知らない。
ただずっと一緒にいただけで、分かってる気でいたんだ。
とりあえず、さんちゃんの家、花霞駅、花霞公園、花霞山のふもと...どこにもいない。
花霞駅から北花霞駅まで走る途中、貴久が足を止めた。
｢ここは？｣
｢え、商店街？｣
｢うん、一応見てこうよ｣
｢花霞商店街｣と書かれた錆びた看板の入口を通り、まだどのお店も回転していない寂しい通りを眺めて歩く。
｢なんか、薄暗くて怖いね｣
増｢朝だから仕方ないよ｣
｢...いないね、戻る？｣
｢うん｣
表の道には誰もいなくて、諦めて振り返ろうと右を向いた時、細い裏道の隙間に違和感を覚えた。
なにか光ってる？なんだろう。
｢くま？｣
ゆっくり進んで、その違和感がすぐにわかった。
奥から反射していたのは、自転車のカゴ。
誰かが、自転車に乗ったまま横に倒れていた。
ゆっくり視線を追って顔に被った腕を退けると、それは私が知っている懐かしの顔だった。
｢け...ちゃ？｣
｢っ...小山っ！！｣
貴久が急いで自転車を退けて慶ちゃんの肩を叩く。
慶ちゃんからは私達が知らないお酒の匂い。
あまりの光景に、私は一言も話すことが出来なかった。
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紫翠(プロフ) - NEVERLANDさん» 最後までくじらを読んでくださってありがとうございました！連載中に頂いたコメントがとても嬉しくて励みにさせて頂きました。次回作もいい作品を作れるように頑張るのでこれからもよろしくお願い致します！ (2022年6月16日 0時) (
レス) id: 4b18fc0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
NEVERLAND(プロフ) - くじらの完結、おめでとうございます!お疲れ様です✨とってもこの作品が大好きです🍀これからも応援し続けていきます! (2022年6月15日 18時) (レス) @page49 id: 5a3474d11c (このIDを非表示/違反報告)
紫翠(プロフ) - にゅすの さくらさん» さくらさん、いつもKasumi.を読んでくださってありがとうございます。いつも応援してくださっているおかげで何とか完結することが出来ました。最終章も楽しみにしていてください。頑張ります！ (2022年6月13日 0時) (レス) id: 4b18fc0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
にゅすの さくら(プロフ) - くじらの完結、おめでとうございます。更新の通知が来るたびにうれしくてすぐ飛んでいきました笑 途中私も苦しくなりながら笑、4人が幸せで何よりです。そして○さんのお話も楽しみにしています…！紫翠さんのペースでがんばってください！ (2022年6月12日 23時) (レス) @page49 id: 27805f29ab (このIDを非表示/違反報告)
紫翠(プロフ) - NEVERLANDさん» コメント嬉しいですありがとうございます！NEVERLANDさんの思いが伝わってきて私こそ嬉しくて泣きそうです：：Kasumi.これからもよろしくお願いします。 (2022年3月23日 2時) (レス) id: 4b18fc0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫翠 | 作者ホームページ：https://lit.link/shisui711
作成日時：2022年2月2日 0時
