未来27 ページ27
「お、迅!」
「あ、太刀川さん」
あのあとなんとなく会話を続けにくくなり、黙って本部に来た私たちを迎えたのは大分テンションの高いA級一位の人だった。どうやら太刀川というらしい。
「迅、その隣のやつ誰だ?彼女か?」
「違うよ、ほら、出水の幼馴染ちゃん」
どうして私の周りにいる人はすぐに私を誰かの彼女にしたがったりするんだ、と思いながらどうもと太刀川さんに頭を下げる。
「へー出水の…」
「太刀川さんから見てこの子どう?」
「どうって?」
「強そうだなーとか弱そうだなーとか」
一体迅さんはどういう意味を持ってそんな事を聞いているんだ、と私は太刀川さんの格子の両目に見つめられながら思う。
「分からん」
「じゃあこの子にちょっと弧月の使い方教えてあげて」
「はい…?」
黙って事の成り行きを見ていた私は思わず迅さんの言葉に何を言ってるんだと反応してしまったが、太刀川さんは今日だけなら暇だし全然いいぞと了承する。
「え、いやちょっと待ってください!まさかこれがお礼とか言いませんよね?」
「そのまさか」
「何だ迅。俺がここで了承する事が見えてたのか?」
「まあね」
二人の会話の意味が分からない私は端から見れば頭上にたくさんのクエスチョンマークを浮かべているように見えることだろう。
そんな私の様子に気づいた太刀川さんが知らないのか?と聞いてくれたので頷く。
「こいつサイドエフェクトあってな、まあ簡単に言えば少し先の未来が見えるんだよ」
「え、凄く嫌だ」
太刀川さんの言った言葉に、私が思ったことをすぐ口にだしてしまい、しまった、と自分の手で自分の口を覆う。
私の言葉に太刀川さんはキョトンとしており、私がおそるおそる隣にいる迅さんの顔を見ると、彼も私を見て悲しそうにヘラリと笑った。
「ち、違うんです!私が言いたかったのは私がそんなサイドエフェクト持ってたら嫌だなと思っただけで!決して迅さんが嫌というわけでは!」
「大丈夫大丈夫。Aちゃんが嫌だって言った意味はそういうことだって分かってるから」
「傷つけてしまってすみません!」
いつもの笑みに戻った迅さんに何度も謝る。迅さんは大丈夫だよと言うが、さっきの彼の悲しそうな表情が忘れられなくて胸が苦しい。
「迅が傷ついた顔したの始めて見たかもしれん」
迅さんに申し訳なくて俯いたままでいると今まで黙ってやりとりを見ていた太刀川さんのそんな言葉が聞こえて、私は数分前の自分を殴りたくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 330人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
竜胆(プロフ) - 飛鳥さん» すみません！かなり遅くなってしまいました……かなり今更ですがご感想ありがとうございます！いつも読んでいただきありがとうございました！面白いと感じていただけて幸いです (2016年7月30日 22時) (
レス) id: 65ca44ab2c (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 初めまして！飛鳥です。 小説いつも読ませてもらってます！！ すごく面白いです！ 更新頑張ってください。 (2016年4月11日 21時) (レス) id: a12d33444b (このIDを非表示/違反報告)
竜胆 - つくのみさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2016年4月11日 21時) (レス) id: 12f6a89aad (このIDを非表示/違反報告)
つくのみ(プロフ) - 迅さああああああああああああああああああん!!!!!あああああああああああ!!!!!!!ってなりました。迅さん美味しいです。あと犬飼と二宮と弾バカと槍バカとっていうか皆美味しいです。ありがとうございます。こういう夢主めっちゃ好きです。 (2016年4月10日 21時) (レス) id: c7b49af549 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：竜胆 | 作成日時：2016年3月24日 13時
