6話目 ページ8
テストの後には自由時間がある。
相変わらず元気なエマが何か言ってる。
また鬼ごっこするのかな…と、木陰に座るレイの隣に腰を下ろした。
レイ「エマ達のところには行かないのか?」
目線だけチラリと寄越してからレイが言った。
『うん。今日はレイといる』
レイ「……ふーん」
質問して満足したのか、レイはそれからまた目線を本に戻した。
レイの隣は好きだ。ドンの隣ももちろん好きだけど、
レイの隣は落ち着く。静かで、時の流れがゆっくりと感じる。
退屈なのではなく、むしろ苦ではない時間を過ごすことができる。
エマ「おーい、鬼ごっこ2人はどうする?」
レイ「パス」
『僕も今日はパス』
即答した僕たちにエマは口を尖らせた。
エマ「Aは昨日遊んだから良いとして、
レイ、たまには混ざれば良いのに」
レイはもう本を読み進めている。苦笑いしていると
ノーマン「OK数えるよ!」
ノーマンの声にハッとしたエマが「じゃあ行ってくる!」と言いながら
森の奥へと駆けていった。
僕はボーっと、空を移動する雲を眺めてた。
『ねぇレイ、あの雲に乗ったら楽しそうだね』
レイ「雲は水蒸気だから乗れねぇぞ」
『いや、それくらい知ってるけどさぁ』
ブスッと頬を膨らませてレイを見たら、レイがハァ…と溜息をついた。
レイ「まぁ、乗れたら楽しいだろうな」
少し笑いながら答えてくれた。
『里親がお互いに見つかっても、手紙交換したり、一緒に遊んでね』
レイ「……そうだな」
レイはたまに諦めた目をする。
今だってそうだ。まるでそんな未来はあり得ないというような顔をしている。
『レイ?』
不安になって名前を呼ぶ。
レイ「どうした」
振り返ったレイはいつもの顔で。
開きかけた口を閉じた。
なんだか安易に聞いてはいけない気がした。
『ううん、何でもない』
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作者名:びびんば x他1人 | 作成日時:2022年12月21日 19時