愛をくれた人。２

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さっきもらった香水を手首にほんの少しつけただけで




鼻の中に広がる藤ヶ谷さんの香り。





「Aさん、行ってきますね」





渉の背中について行く二階堂君。





「うん、行ってらっしゃい」





私の言葉に反応し、行ってきます！！って





大きく手を降る。





「そういえば、、、」





まだ終わらせてない書類あったなーって





積み重なった書類に手を伸ばせば





"眠そうだな"ってピンク色の付箋に、渉の字。





そこまで綺麗じゃないけど、下手でもないクセのある字。





ふふ、って１人でにやけて





高鳴る胸をおさえ、俯いた。







「ただいま戻りましたー！」






大きくて、元気な二階堂君の声。






「これ横尾さんにもらったんっすよ！！！」






たかが缶コーヒーなのに、大事そうに胸の前で持ち





慎重に慎重に飲む二階堂君を微笑ましく思う。






「・・・飲みます？」






「いらない(笑)」





私が見つめてたからか、





自分が口つけた後の缶コーヒーを手渡そうとしてくる。





「えー、飲めばいいのにー。」






「いらないよ。二階堂君が口つけた後だもん」






「えっ、、じゃあ、、、俺の事嫌いってことですか？！」






よくわからない解釈に思わず笑ってしまう。






「嫌いじゃないよ(笑)」






「じゃあ飲んで下さいよ」





あまりにも執拗いから、わかったわかったって





なるべく口を付けずに一口飲もうとした所





「それお前にやったんだから全部お前が飲め」





背後から、渉の声。





「あっ、すみません！！！ちょ、Aさん返して！」





自分で渡してきたくせに





さも私が取ったかのような仕草をされて、





渉を見ると、私を睨んだ後にそこを立ち去った。

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