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「テメェふざけてんのか?ああ!?」
すぐ真横で始まった喧嘩に、私は呆気に取られてしまって動けない。
喧嘩はヒートアップして行くばかりで、収まる様子はなかった。
すぐに離れるべきだったのに、恐れに足がすくんでしまった私は動けなかったのだ。
ついに喧嘩は殴り合いに発展して、殴られた男がこちらに飛んでくる。
店内に目を向けると、店員さんが通報した様だった。
マジで警察早く来てくれ、私が死ぬ前に。
願いは届かずに、ついに当事者が投げた椅子が私へ向かってくるのが見えた。
痛いのはやだなぁ、なんて呑気なことを考えながら、衝撃に備える。
が、一向に痛みはこなかった。
「てめぇら何してくれちゃってんのぉ?」
代わりに蘭ちゃんの声が聞こえてきて、目を開けると無表情の彼が、喧嘩をする当事者へ向けて口を開いていた。
投げられたであろう椅子は足下に転がっていて、蘭ちゃんが止めてくれたのだろうか?
「お前に関係ねぇだろうが、黙ってろ!」
男が、蘭ちゃんに向かって言った。
「は?A怪我するとこだったんだけど?」
その言葉にドキリと心臓が痛んだ。
私の為に、怒ってくれているのか。
喜ぶのも束の間、男が蘭ちゃんずかずかと近付いてくる。
ヤバい、蘭ちゃんはアンドロイドだ。
殴られたりしたら壊れちゃう!!!!
『蘭ちゃ……、え…?』
目の前の光景に、彼を呼ぶ私の声は止まった。
倒れたのは彼に向かってきた男だったのだ。
「おっせぇなぁ?俺に勝てるわけねぇだろ?」
倒れた男を一瞥して、蘭ちゃんは私の手を取った。
「怪我してないー?」
もちろんしてない、蘭ちゃんが椅子を止めてくれたから。
『ない…けど、蘭ちゃん戦えるの…?』
率直な疑問を彼にぶつけると、彼は私の質問にキョトンとした後、訝しな表情をする。
「お前説明書読んだかぁ?」
“汎用型”な、俺。
汎用…さまざまな用途や分野に用いることができるさまを意味する語。
だから戦闘も出来るってこと…?
「つまり、お前を守ってやれるってことな。」
固まる私に、彼はニコニコ笑って言った。
またしても騒がしくなる心臓に、戸惑ってしまう。
彼はアンドロイドだ、私達人間とは違う。
だから、この胸のドキドキも違う。
チクリと痛む胸を無視して、自分に言い聞かせた。
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☆真菜*(プロフ) - すごく面白かったです!私の小説の方で名無しさんのことを宣伝(紹介)してもいいですか? (2023年3月28日 9時) (レス) @page15 id: af29f1e969 (このIDを非表示/違反報告)
灰音 - とっても面白かったです!続きとっても気になります!学校のみんなにもすすめたら面白いといってました!これからも頑張ってください! (2022年1月25日 18時) (レス) @page15 id: 2bb9e850cc (このIDを非表示/違反報告)
maaru - こんにちは!maaruです!最近読ませていただきました!続きがとっても気になります!!もともと蘭ちゃん大好きだったので幸せに浸っていました〜^_^更新頑張ってくださいさい応援しています! (2021年12月29日 20時) (レス) @page15 id: d273a29e63 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - まいまいさん» まいまいさんコメントありがとうございます!🙇♀️嬉しいです😭エラーコードはちょっと臭いかなって不安でした😂面白い作品と言っていただける様これからよ頑張ります💪 (2021年11月30日 8時) (レス) id: c598b64059 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい - アンドロイド蘭ちゃん、めっちゃかっこよくて好きです。エラーコードまで愛のメッセージなんてもうなんかロマンチックすぎます、、!!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます〜( ´∀`) (2021年11月30日 0時) (レス) @page15 id: 40edf5f5b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し | 作者ホームページ:https://twitter.com/nns_dreamgirl?s=21
作成日時:2021年11月17日 23時