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ふたつは、この谷は本当に真っ暗だということ。
 空を見上げれば、太陽が存在しているのかどうかも分からなかった。光も熱もない。
 それはどう考えてもおかしいだろう。太陽ほどの力を持つものが、遮るものが何もないというのに、この谷には届かない。

 それはまるで、ここが世界の一番端っこみたいだった。

 この家がある以外に、谷の底だというここには何もなかった。足下にあるのは小石ばかり。ユナンは生活に必要なものは()から取ってくるほか、『魔法』で造り出すことができる。二人分の寝台だってそうだ。
 だから、生活に不便を感じることはない。……でも、いつかきっと、ユナンにこの谷のことを聞いてみようと思った。


 そして最後に。
 この世界では、皆が皆魔法が使えるわけではない。この『ルフ』という鳥みたいなものが見えるのが『魔法使い』たる証だという。
 そして彼らは、身の内にある『魔力(マゴイ)』という、いわばスタミナのようなものを消費して魔法を行使する。

 自然回復もするが、それには時間がかかる。体内の『魔力』が多ければ多いほど、有利というのは言うまでもない。……私は別に多くも少なくもないらしい。それを言われたときは、パッとしないなぁ、と肩を落とした。まあ、そこまではいいんだ。


 そして『魔法使い』には、大きく分けて三つの階級が存在するのだという。これは魔力量にも比例しているらしい。
 一番下から、
 ・まじない師(ルフを見ることができるが、これといって魔法は使えない)
 ・魔導士(魔法と呼ばれる現象まで発生させることができる)
 ・マギ(世界に三人しかいない。自分の魔力だけでなく、周囲から魔力を受け取ることができる)


 一番驚いたのは、この目の前の変人───ユナンがその『マギ』という存在だってことだ。


 最初に聞いたときなんて、もう本当に驚いて、椅子から転げ落ちるところだった。
 だってその『マギ』っていうのは、ユナンを含めて世界に三人しかいないらしい。そして彼らは、言ってしまえば、スタミナが無限にあるってことだ。本当にすごいことだと思ったけれど────


『そ、それって、魔法でなんでもできちゃうってことだろ! もう敵なしで、めちゃくちゃすごいことじゃないか……!』

 私は興奮しながらに言った。
 けれど、

『そうかな。僕にもできないことはあるし、それに、魔力がたくさんあるからといって……それが良いこととは限らない』

〃→←第392夜 理由



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名無しさん(プロフ) - 藍茶さん» 藍茶さん初めまして、ご感想ありがとうございます!返信が遅くなってしまってすみません。この状況下なので私生活でも色々あったのですが、できるだけ更新ペースも元に戻していきたいとは思います。よろしくお願いします (2020年6月4日 16時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
藍茶(プロフ) - 最近読み始めました。めっちゃ面白いです!更新待ってます(*´ `*) (2020年5月10日 1時) (レス) id: cd49a05e5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無しさん | 作成日時:2020年3月4日 21時

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