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「そうだ。服、どうしようか」
と、ユナンはそんなことを言った。
そういえば、と自分の身なりを見てみる。今は袖のないワンピース……と言えば聞こえばいいだろうが、どう見ても『みすぼらしい』の部類に入る。ていうか色々なところがぼろぼろだ。
「僕の家、服ならたくさんあるから。最新の流行ファッションさ！ 遠慮せずに試着してみなよ。身長は僕よりちょっと小さいくらいかな？ 入るなら十分かなあ」
と、手近なタンスをごそごそと掻き回す。この家、何もないように見えて色々と、いや、実はめちゃくちゃ物に溢れているのかもしれない。
ぽいぽいと手元にいくつかの服が投げられる。それを寝台に広げつつ目を通すが、これはどう見ても。
「男物しかなくない？」
「……やっぱり、いやかな？」
「……いや、大丈夫」
まあ、嫌ではない。それに服を貸してくれるというのに、文句を言えるような立場でもない。ないのだが───パーツが多い、というか。
出てきた服はどれも重ね着前提の服だ。こういうのが最新ファッションと言われてもよく分からない。元々流行には疎いほうだから、分からないのも仕方がないかもしれないけど。
「けどそれにしても、もう少し身軽なのってある？ 着やすいの……ファッションとかあんまり、気にしないし」
ユナンの横に割って入り、タンスの中を一緒に漁る。本当に服だけは沢山あるようだ。なんでだ？
「身軽……身軽ねぇ……あ、これなんかどう？ 男物だけど、君が着るにはちょうどいいんじゃないかな」
と、大きなワンピースを取り出し、立つ私の体に合わせてみる。なるほど、確かに丁度良いのではないだろうか。
ユナンはともかく、大柄の筋骨隆々な男が着ればぴったりサイズみたいなものだろう。ウーゴというあの蒼い巨人は、私の大きい体も忠実に再現したらしい。オーバーサイズなら助かるってもんだ。
「でもシンプルすぎない？ やっぱりこの流行の最新ファッションに……」
「いや。これで大丈夫。大丈夫だから！ ていうかその服色違いでいくつ持ってるんだよ」
ユナンから服一式をひったくって、無理矢理ベッドとは反対方向に向かせる。いわば壁際だ。異性として意識していないのは互いに明確だが、それでも着替えは別の問題になる。記憶がなくとも、その程度の常識と倫理観は持ち合わせているとも。
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名無しさん(プロフ) - 藍茶さん» 藍茶さん初めまして、ご感想ありがとうございます！返信が遅くなってしまってすみません。この状況下なので私生活でも色々あったのですが、できるだけ更新ペースも元に戻していきたいとは思います。よろしくお願いします (2020年6月4日 16時) (
レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
藍茶(プロフ) - 最近読み始めました。めっちゃ面白いです！更新待ってます(*´ `*) (2020年5月10日 1時) (レス) id: cd49a05e5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無しさん | 作成日時：2020年3月4日 21時
