第389夜 ユナンと＊＊ ページ28
◇
次に目が醒めたときには、体はもう動かなくなっていた。
手足の感覚はあるのに、それがすごく重たい。……元から痩せていたわけではないけど、流石に動かせないほどに重かったわけでは……
「やぁ、目が醒めたんだね」
そして一番に耳に飛び込んで来たのは、優しくて───そして、何かに疲れたような声だった。
その人はまた疲れたみたいな顔で、私を覗き込む。
言ってしまえば、とても容姿の整った人だった。こんなのが町中を歩いていれば、モデルにスカウトされるんじゃないだろうか。男性というよりは、中性的に見えた。
色素の薄い、長く綺麗な髪を一つの三つ編みにまとめている。それともう一つ、小さい一本の三つ編みを前髪のあたりに横に流している。
水晶みたいな青緑の瞳や、その独特な服装も相まって、なんだか人間離れしていた。
というか、ここはどこだろう。あなたは誰でしょうか。体を起こそうとすれば、彼はそれを手で制した。
「はじめまして。僕は……って、まだ動かないほうがいい。その体に、まだ馴染んでいないみたいだからね」
「か、からだ、って」
声を出して驚いた。声も掠れていれば、舌もうまく回らなかった。
「それは
それから彼は椅子から立ち上がり、寝台に寝かせられているらしい私の体をゆっくりと起き上がらせた。
「うん、ちゃんと目も耳も機能しているみたいだね。はい、水。飲めるかい？」
コップに注がれた水を口まで持って、彼はそう言った。少し頷けば、口の中へと冷たい水が流し込まれる。
ゆっくりと飲み込んで、胸のあたりがひやりとする感覚。まるでずっとずっと水を飲んでいなかったような気持ちになった。
それからまた私を寝かせて、彼はコップを片付ける。
視線だけを動かせば、小さい部屋の中が見て取れた。ぼやけているけど、集中すれば少しは見える。
ドアの取っ手まで木造の小さな家の中には、そこら中に壜やら壷やらが置かれていた。壁からはよく分からない木の実みたいなものがぶら下がっていて───それは、私の知る『常識』からは、少し離れているような気がする。
これまた小さな窓から覗く外は真っ暗で、室内の蝋燭程度だと何も見えなかった。
ここは、どこなのだろう。
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名無しさん(プロフ) - 藍茶さん» 藍茶さん初めまして、ご感想ありがとうございます！返信が遅くなってしまってすみません。この状況下なので私生活でも色々あったのですが、できるだけ更新ペースも元に戻していきたいとは思います。よろしくお願いします (2020年6月4日 16時) (
レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
藍茶(プロフ) - 最近読み始めました。めっちゃ面白いです！更新待ってます(*´ `*) (2020年5月10日 1時) (レス) id: cd49a05e5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無しさん | 作成日時：2020年3月4日 21時
