〃 ページ22
一人でいても、二人でいても、孤独は孤独に変わらない。
アラジンがそう思っているかは分からないけど、私は少なくともそう思った。だから、彼をここに残すのは、気が引けた。
ウーゴを責めているわけじゃない。彼にも彼なりの事情があって、やむを得ずといったようなものだろう。二人で話しているときは、本当にウーゴはアラジンのことを想っているって分かる。
だからこそ、余計に、私だけが外に出て行くというのは、厭だった。
「……ありがとう」
「……はっ？」
「君が、そこまでアラジンを想ってくれていたことに対してさ。……君は本当に、優しいんだね」
アラジンのことなのに、ウーゴは本当に嬉しそうだった。
というか待て。私はそこまで言われる所以はない。
「い、いやいや、だって私、他にすることないし、楽しいし……それに、私を集めたっていうかなんていうか、とりあえず私がここにいるのは、ウーゴのおかげだし……」
「そうかな。でも俺が見てる分には、君のそれには責任感というものはあまり感じられないように思うけど。
君が覚えていなくても、君に関わった人は、多分みんな、俺と同じことを思っているんじゃないかな」
と、至極真面目な顔で言った。
真正面から人に褒められた経験はなくて、視界が滲むのと同時に、手を顔の前でぶんぶんと振り回した。
「な、なんだよ、急に」
「茶化してるわけじゃないんだ。過ごした時間は短いかもしれないけど、俺はそう思ったよ」
「……そんなこと、言われても」
こっちだって冗談じゃなくて、普通に困ってしまう。
私には過去の記憶がなくて。だってそれって、自分がないってことだ。
過去がなければ、今までの私も私であったという証明にはならない。過去がないのは、生まれたての赤子と同じようなものだ。
「アラジンも、君と関わるようになってから、笑うようになった。初めて見たんだ。きっと、俺にはできない」
「───違う。そんなことない」
しょぼくれる巨人は顔を上げる。
「ウーゴと話してて分かるよ、ウーゴもアラジンのこと大好きなんだろ。ウーゴとアラジンの抱えた事情は分からないし、私が首をつっこめることじゃない。でも、自分のことをそんな風に卑下するのは、多分、だめだ。
……きっと、来るよ。ウーゴもアラジンも、互いに大好きだって言える日が」
て、私は一体何を言っているのだろうか。
とてもじゃないが、否、とても恥ずかしいです。
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名無しさん(プロフ) - 藍茶さん» 藍茶さん初めまして、ご感想ありがとうございます！返信が遅くなってしまってすみません。この状況下なので私生活でも色々あったのですが、できるだけ更新ペースも元に戻していきたいとは思います。よろしくお願いします (2020年6月4日 16時) (
レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
藍茶(プロフ) - 最近読み始めました。めっちゃ面白いです！更新待ってます(*´ `*) (2020年5月10日 1時) (レス) id: cd49a05e5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無しさん | 作成日時：2020年3月4日 21時
