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顎に手をあてて、巨人は考える。
なんだか申し訳なくなってきた。
私は私のことが分からないし、この人はどこにも行かずに漂っていた私を……どういう理屈かは分からないが、集めて形にしてくれたらしい。とりあえずそれには、お礼を言うべきだ。
手足がだんだん形を帯びてきた。私の意志がはっきりしてきたからだろうか。
ふにゃふにゃしたソレを何とかかんとか動かしながらもがいていたら、彼はこちらに意識を向けてくれた。声が出せないのだから、こうするしかない。
「え？ ああ、どういたしまして。でもお礼を言われるようなことじゃないよ。俺も、俺以外にあの子……アラジンの話し相手がいたらなあって思ってたんだ」
と、人差し指を私の後ろに向けた。
そこには、青い髪の子供がいた。
───ザ、と頭にノイズが走る。
だがそれも一瞬。何かとても、とても大事なことを思い出しそうだったのに、それはまたどこかに行ってしまった。
子供は本を読んだ体勢のまま、眠っているようだった。死んでるみたいだった。あれでは首が痛くなるのではないかと思ったものの、子供に触る術はない。
───ここに、睡眠という概念はあるのだろうか。
『…………？』
今のはどういった感情だっただろう。よく分からない考えが頭に浮かんだと思えば、よく分からないまま、またどこかへ行ってしまった。
「でも、話せないときたらどうしようか……自在に操れるような魂の入れ物もないし……あ、そうだ。
その白い動物も、気付いたらここにいたんだけど。君の友達か、何かかい？」
……白い動物。少なくとも私にそんなファンシーなお友達はいなかったはずだけど。
ついと視線を動かせば───ソレは、そこに寝転がっていた。
赤い瞳は閉じていない。
白い毛はどこか薄汚れている。
まるで一瞬のうちに意識を刈り取られて、そのまま活動停止をしたようだった。
「生きてるのかい？ 俺には見たこともない動物だったから、どういう扱いかも分からなくて。害はなさそうだったからそのままにしておいたんだけど。アラジンもあんまり興味ないみたいでさ……動かないから、かな」
『──────』
いや、害があるもなにも、こいつは害しかもたらさない災厄だ。
記憶のない私の意識は、ただそれだけをサイレンと共に私に知らせてくる。コレは、ここにいていい生物じゃないって。
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名無しさん(プロフ) - 藍茶さん» 藍茶さん初めまして、ご感想ありがとうございます！返信が遅くなってしまってすみません。この状況下なので私生活でも色々あったのですが、できるだけ更新ペースも元に戻していきたいとは思います。よろしくお願いします (2020年6月4日 16時) (
レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
藍茶(プロフ) - 最近読み始めました。めっちゃ面白いです！更新待ってます(*´ `*) (2020年5月10日 1時) (レス) id: cd49a05e5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無しさん | 作成日時：2020年3月4日 21時
