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「琥珀はアラジンを殺す気はないのでしょう。ですが、他のひとは？ 琥珀の友達を、琥珀が、その手で殺すのですか」
「……何、を……」
彼女の人差し指がぴくりと動く。下手をすれば殺されるかもしれないが───琥珀はきっと自分を殺さない。そんなふわふわとした確信が背中を押して、言葉を絞り出す。
「琥珀はそれでいいのですか？ ほんとのほんとに、最初から皆を殺す気だったわけじゃないのですよね。そもそもみんな殺して新しい世界を創って、それで何ですか。クルトとなぎさも下手に生かすぐらいなら、今この場で殺すのです。ほら、ほら！」
「なぎさ、やめなさい」
後ろから声が掛けられる。なぎさは彼に振り向いて怒鳴りつけた。
「うるさいクルト！ そもそもお前はなんなのですか、琥珀の使い魔なら、普通主人の馬鹿なまねは止めるものなのではないのですか！？」
一体どこがどう彼の琴線に触れたのか。クルトは押し黙ってしまった。なぎさは置物のように目を瞑った彼を放り、また琥珀へと向き直る。
「琥珀！ 琥珀が納得するまでなぎさは何度だって言うのですよ。『人類総抹殺』なんてやめるのです！ 今からだって絶対間に合うのです！」
「……やめる、だと、今更か！？ いいかなぎさ、これは突発的に思いついたことなんかじゃない。
「だからそういう問題じゃないのですっ！
みんなみんな殺してしまったら、一番最後に悲しむのが誰だか琥珀は全く分かってない！」
「な───」
一瞬だけ驚いたような顔をした後、再びなぎさを睨め付ける。すると踵を返し、早歩きで扉のほうへと歩いて行く。
「どこへ行くのですか！」
「離せっ！」
なぎさはその腰にしがみついた。さすがに乱暴に振り払われるかと思ったが、琥珀はどうしてかそれをしなかった。それを利用し、さらに声を荒げる。
「やっと分かったのです！ 琥珀がずっとずっと難しい顔をして考えていたのは、悩んでいたのはアラジンのことなのでしょ！？ なぎさには世界を壊すほどの事情が……一体何があったのか知りません、でも琥珀が話してくれるのならいくらだって聞くのです！」
「っ……何を、分かったようなことを───」
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作者名：名無しさん | 作成日時：2019年11月3日 19時
