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案内された個室、ベッドの上で琥珀は死んだように眠っていた。
 何も知らぬ人が見れば死んでいると思ってしまうだろう。
 その顔には生気というものがなく、呼吸も浅い。近づいてみないと息をしているかどうかすらも分からない有様だ。
 女官が部屋を出て行ってから、アラジンはベッド脇の椅子に腰掛ける。

「───琥珀さん。君は、僕のことを知っているのかい?」

 囁くように言った。
 勿論、返事はない。そもそも期待などもしていなかった。
 あまりここに居座るのもいけないと思い、椅子から立ち上がる。
 最後に体温の感じられない冷たい肌に手を触れてから、部屋を後にした。



 扉の音を聞いてから、琥珀は目を醒ます。
 たった今、タイミング良く/悪く眠りから醒めたというものではない。
 彼女は、元から眠ってなどいなかった。

 確かに、医務室に運ばれた時は間違いなく眠りに落ちていた。それがアラジンが医務室を尋ねた頃に目を醒まし、彼が部屋に入って来ても寝たふりをしていただけだ。

 表情ひとつ変えず、彼女は呟いた。


「────ごめんなさい」





〃→←〃



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作者名:名無しさん | 作成日時:2019年8月4日 23時

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