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「……オルバ!? と、『大聖母』の奴らか!? なんていうか、その……でかくなったな。ていうか、でかすぎじゃね?」
「いやあ、照れます〜! この国で世話になって、剣術とかも習ってバリバリ鍛えたおかげっすかね!
でもでも、俺らが一番恩義を感じているのはやっぱアリババさんだけなんで! いつでも使っちゃってくださいね!」
なんて、ウィンクを決めながら言った。
「お、おう。っていうか、おまえそんなキャラだったっけ」
「───おい! こっちを無視するな!」
突如肩を掴まれるアリババ。その聞き覚えのある声。と、この力強い手は。
「あ、おまえ……トト!」
「待ちくたびれたぞ、アリババ」
オルバに続き、まさかの彼女との再会にアリババは驚いて暫く声も出せなかった。そして美人に反応して駆け付けてくるアラジン。
「アリババくん! そのきれいなおねいさんはだれだい?」
「え? ああ、こいつはトト。レームの知り合いで……ていうか、トトおまえなんでいるんだよ?」
「お師匠の付き添いだ。別におまえに会いに来たわけじゃない。うぬぼれるな」
「なんだとー?」
と、軽口を叩き合って何やら仲の良さそうな二人。
「フフフ、トトさんか、楽しい人だね! アリババくんの友だちかな? あとでお話してみよう。ねっ、モルさん!」
「……え? は、はい。そうですね」
───モルジアナは、自分でも知らないうちに、何か言葉にできないような感情を二人に抱いていた。
◇
「────……?」
ふと気になって、彼女の影を探す。
クーフィーヤを翻して船の周りを見渡すが、どこにもいない。彼女には脱走癖、もとい放浪癖のようなものがある。だがそれにしても、帰還してすぐだというのにそんなことをするだろうか。
視線を動かしている最中、見覚えのある長い白髪を見つけた。
「なぎさ! おかえりなさい。ケガは……なさそうだね、良かった」
彼も人のことは言えない。つい子供を心配してしまう癖が出た。彼女はそのくりくりとした双眸で彼を見上げる。
「ジャーファル。ただいま、なのです」
確かに、彼女には目立ったケガはなかった。だが落ち着きがないように見える。祭りにそわそわしているといったものではなく、どこか別のところに意識を向けているようだった。それを少々不穏に思いながらも、当初の質問を投げかける。
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作者名:名無しさん | 作成日時:2019年8月4日 23時