第192夜 猛攻 ページ10
「効いたっ！？
なんで！？ さっき、アリババくんと紅炎おじさんの剣は効かなかったのに……」
何も効かないと思っていた『依り代』を、紅玉の水槍が貫いた。攻撃方法に困り、攻めあぐねていた紅覇たちも驚き目を見開く。紅炎だけは、紅玉を見上げてどこか確信したような笑みを見せていた。
「もう一撃！
『
再び降り注ぐ水槍。深々と足や胴体に突き刺さる槍を見て、アラジンはあることに気がつく。
「───手だ！
あいつが『防壁』を張るのも、ルフを奪う攻撃をするのも手の平だけだ！ 他の場所を攻撃すれば効いている……」
アラジンにルフたちが魔力を送る。
大量の魔力によって顕現した砂の巨人を従え、アラジンは前進する。
「一気に倒す！ みんな、力を貸しておくれ！！」
三人の巨人の手から射出される熱の光線。それは『依り代』の胴体を掠めるには至ったが───だが、
一瞬にして巨人の傍まで駆け寄り、その砂から魔力を吸い取る。
「闇雲に動くな。紅明！ お前が指揮を取れ！」
自身の体を治癒させながらも紅明へ指示を送る。紅明は数秒の間も開けずに、素早く手を動かした。
「承知しました、転送します。紅覇、紅玉、白瑛殿！」
「はい！」
紅明のダンダリオンによって、砂の巨人と取っ組み合いをしていた『依り代』の背後へと白瑛が躍り出る。
奴が反応するよりも、速く。
「震天動地！
全てを砂塵に帰す風神の咆哮を聞け───極大魔法『
周りの木や瓦礫を巻き込みながら、『依り代』を丸ごと包み込むほどの竜巻が巻き上がる。常人であれば全身の骨が砕け、即死であろう程の威力。ルフを吸い取る手が幾つあろうが、『依り代』も無事ではいられない。
そして空高く舞い上がった木偶を待っていたのは、紅覇だ。
「無情を刻む、圧殺の女王の嘆きに散れ───極大魔法『
円形に圧し潰される胴体。もはや上半身と下半身を繋いでいるのは、脇腹あたりの皮だけだ。
海へと落下していく矮躯を迎えるのは、紅玉。彼女の射程圏内たる海に飛び込んでしまえば、誰も生きて返さない。
「我は召す、怒りをもって其を貫く水神の裁きっ！
極大魔法『
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作者名：名無しさん | 作成日時：2019年7月9日 0時
