〃 ページ35
「どうして、どうして、どうして……うふふ、さて、どこから何を話しましょうか。ところであなたは、一体何が聞きたいんですか？」
手近な岩に腰掛ける。
摘んだままの『黒いジン』を目線の高さまで持ってくると、愉しそうにぐりぐりと弄りながら眺める。
「あなたのような不味そうなもの、普通の人なら食べようとしないですけど……まあ食べることすら難しいですね……そのへんの理屈は置いといて、ただ純粋な食物と見れば、これ以上のものはないんです。高カロリーな栄養食みたいなものですね」
ぐり、と人差し指を動かす。
その度に『餌』は、うめき声を上げた。
「え？ そういうことじゃない？ どうして食べられるか、って？」
きょとんとした顔で『餌』に話しかける。
「───じゃあ、食べられてみれば分かるんじゃないですか？」
───ぱく。
───ごくん。
「やっぱり……あんまり美味しくなかったですよ、あなた」
そして、また一つ、ネコの吐いた『餌』を摘まみ上げる。
「『組織』は私を侮っていました。恐らく、私の能力はもう割れている……まあ、能力を突き止めるまでは、良くできたのかもしれません。でも、一つ勘違いをしてたみたいですね」
ぱく。
ごくん。
「……ふう。私の能力が、ただ『
────私、実はちょっと、
ぱくん。
ごく。
「ん……例えば、この『インセクトイーター』……この世界には、あんまり似つかわしくない言葉ですね。
これ、本当はある条件下でしか使えないんです。でもこの力の持ち主は、正史ではいないことになっている……だから
だから、
ぱく。
ごくん。
「───この世界の
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無しさん | 作成日時：2019年7月9日 0時
