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「私は『魔力炉』を作るために、たくさんの人々を堕転に導いた。償いきれない責任がある。彼らを捨てては行けない。
確かに、ティトスがずっと引き留めてくれているおかげで、私は白いルフの流れに還れるかもしれない。だが、他の者は無理なのだろう？ 助けられないのだろう……」
アレはもはや人ではない。この世の悪性を体現したようなおぞましいものの数々は、もはや涙を流しながら怨嗟を撒き散らすだけの思念だ。
「……うん。その人たちは、ずっと昔に死んでいる。堕転して死んだ人たちから抜け出たルフは、白いルフには戻れない。もう、二度と……」
長い静寂の後、モガメットは静かに「そうか」と呟いた。
「アラジン、おまえに頼みがある」
「……なんだい？」
「おまえは、この世界の仕組みを超越した
だからどうか……黒いルフを白いルフに戻す方法を、探してはくれないかね？」
「────えっ？」
突拍子もないその頼みに、アラジンは返事するまでに暫し時間を要した。
「この世界中の、かつて己を、運命を恨みながら死んでいった者たちの命を……彼らの家族や、愛した者たちの眠る白い流れへ帰してやることは、本当に不可能なのだろうか？」
────黒いルフを白いルフへ戻す方法。
アラジンは頭を殴られたような衝撃と共に考え込む。
そうだ、そうだ。もしかしたらあるかもしれない。誰も見つけられなかっただけで、本当はどこかに存在しているのかもしれない。
一度道を間違えただけで、理不尽な不幸に心が折られてしまっただけで、苦しみ続けている人たちの黒いルフを、助けてあげられる方法があるとしたら────
「アラジン、アラジン！」
モガメットの呼びかけにはっと我に返る。
「ヤムライハにも会わせてくれて感謝する。といっても、私は会わせる顔もないがね」
「どういうこと？ ヤムさん」
ヤムライハは眉間に皺を寄せたまま、絞り出すような声で話し始めた。
「この人……私をムスタシム王宮から攫って育てたの」
「！？」
「私は本当は、代々王家に使える一族の末裔だったそうだけど、みんながその事実をかたくなに隠すから……物心つくにつれ、私はどんどん疑心暗鬼になっていった。あなたが私を反乱の道具に利用するために育てているんだって、とてもおそろしい人に思えた」
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作者名：名無しさん | 作成日時：2019年7月9日 0時
