magi 20

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いや、気のせいなどではなかった。
　シンドバッドの『ゼパル』と同じように、紅炎の『アガレス』は魔装すると体が子供のようなものへと変化するようだ。

「大地を穿て、アガレス！！」

　それこそ悪魔のように、異形と化した自らの右腕を捻る。
　瓶の蓋を開けるかのような軽い動作だった。だが、その規模たるや────

「地面に穴を掘ってる……？」

　螺子のように削り取られる大地。土の棒は天を貫かんとするまでの長さになる。それと同時に、地震のような揺れ。
　一体何をしているのか、アラジンもアリババも全く理解できないでいた。
　あの棒が、限界を超えるまでは。

　脳を揺さぶる破裂音。
　空を飛んでいても伝わる熱と、目も眩むほどの眩しさ。全てを溶かし尽くす灼熱が止め処なく溢れ出ていた。

　紅炎は地脈を刺激し、溶岩流を引きずり出した。何の為に？と紅玉が首を傾げる。アラジンはやっと気付いて、溶岩の中に飛び込んだ紅炎を指差した。

「あ、あのためにさ……！
　最初に使ってた炎の金属器に、あの熱いドロドロから魔力をあんなに吸収するために！」