〃 ページ14
紅明は冷静でいたつもりだった。だが端から見れば、激情に駆られ、考え無しに動いたようにしか見えない。
「───無傷……！」
山で圧し潰すどころか、さらに山にあった魔力を残らず吸い尽くした。
無数の腕を展開しながら上げる叫び声が耳を
もはや万策も尽き、呆然と見上げるしかなかった。
「玉艶様、ご覧になられておいでですか？ この光景を……私たちの黒いルフを通して……」
◇
遠く離れた煌帝国で、数秒のラグもなく、複数の覆面に囲まれた女は言葉を返した。まるですぐそこで会話をしているかのように。
「ええ。見ていますよ。……そして、『あの子』が？」
「そうです。『聖宮』から現れ、『ソロモンの知恵』を手に入れた『マギ』アラジン！」
上空を睨むその目を見つめ、暫しの静寂の後、玉艶は静かに頷く。
「───そのようですね。
ソロモン王……あなたはやはり傲慢すぎた。
一体何が面白いのか。その顔には厭らしい笑みを浮かべ、聞こえるはずのないアラジンへと語り掛ける。
「フフ、
饒舌にそこまで喋り、覆面の男に手で合図をする。
すぐに覆面は杖を手にし、玉艶へと手渡した。
「懐かしいわね、『我が王』よ────」
「『
アラジン、決着をつけましょう。同じ『アルマトラン』の『マギ』として！」
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作者名：名無しさん | 作成日時：2019年7月9日 0時
