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「あいつ
『防壁』を張ったり『ジン』をルフから作るっていうのは『魔法』だもの。あいつもその度、少しずつだけど魔力を消耗してる。
つまり、あの『依り代』が魔力を使い果たすまで『黒いジン』をやっつけ続ければ、防壁も消える。あいつを倒せるってことさ！」
「そっか！ ……で、あいつが力尽きるまでには、あと何体『黒いジン』を作らせればいいの！？」
「うーんとね────一万匹、くらいかなぁ？」
「────い……ちまんびき！！？」
「ちょっとあなた、無茶言わないでよぉ！」
アラジンがさらりと放った言葉に対し、紅覇や紅玉は顔を青くして非のないアラジンを責め立てる。
だがそれは尤もな数だ。そのぐらいの威圧感に加え、防壁の強度から見てもそうだろう。『マギ』であるアラジンの何十倍もの硬さを誇っている。そのぐらい、多量な魔力を蓄えているということだ。
無理だ、と紅覇は力なく零す。一万体なんて、全てを屠る前に自分たちの魔力が尽きてしまう。今だってもう既に、皆は息を荒くしていた。
「────炎兄！？」
紅炎が突如前へと飛び立つ。一体何をする気なのかと言えば……一択しかないのだが。
群がる『黒いジン』へと飛び込み、傍にいたものから手当たり次第に剣を突き刺して行く。これが不思議なもので、斬ったそばから
その紅炎を脅威と感じ取ったのか、黒いジンたちは一斉に集中して襲いかかる。気付いたときには、幾つもの腕に絡めとられた後だった。
だが、この程度でくたばる男ではない。
じゅう、と肉の焼ける音がする。
黒い手に首を締められても尚、紅炎は笑っていた。剣を離さないでいた。
やがて紅炎を包んだ黒い塊は高温に熱せられ、その体を限界まで膨張させてから破裂した。軽く六、七体は黒ルフに還しただろう。紅玉も息を荒くしながらその様を見ていた。
「でも見ろっ！ 『魔装』が解けちまってる……魔力切れじゃねーか！？」
アリババの言う通り、紅炎は魔装もなしに、ただ地面に突っ立っていた。だが紅明は特に慌てる様子もなく、落ち着いて言う。
「いや。あれは『魔装』の
紅炎の右腕に鎮座していた肩当てが輝く。光は集束し、紅炎の体を包み込んだ。
心無しか、紅炎の姿すらも小さくなって。
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作者名：名無しさん | 作成日時：2019年7月9日 0時
