〃 ページ27
「……ありがとう。助かった」
琥珀が素直にそう伝えれば、ゲルダは栗色の癖毛を揺らして微笑んだ。
「いいってば。友達なんだから！」
「────友達」
蚊の鳴くような声で琥珀はその単語を復唱する。ゲルダはそれには気付かない。
「そういえば琥珀、コドル１なのにさらに自主学習なんて偉いわね。もしかしてマグノシュタットの先生を目指してるの？」
「……知識と力に上限はないから。それに私がマグノシュタットに来たのは、何も勉強するためじゃない」
ゲルダは心底不思議そうに「ふうん」と漏らし、琥珀の顔を覗き見る。琥珀は何を言われるかと思っていたが、彼女はそれ以上追及することはなかった。琥珀はそれに安心し、言葉を続ける。
「それに、自主学習で偉いってんならお前もじゃねえの」
「ううん。私は琥珀と違ってダメだから、もっと勉強しないとってだけよ。今日だってね、私の一番得意な命の魔法、８型の次に私と相性の良い魔法が４型の雷魔法っていうのも今日初めて知ったもの」
「ああ、だからこの棚にまで」
「……ていうか琥珀、よくこんな大きな図書館で迷わないわね。私、学院内でも図書館の中でも迷ってたの。やっぱり天才って、こう、覚えるのも早いのかな……あ、それとも、もう迷った後？」
琥珀はずり落ちそうになった帽子を被り直す。ゲルダがあまりにも真剣な顔をしてそんなことを言うものだから、堪え切れず笑い出してしまったのだ。
「え、わ、私何かおかしいこと言ったかしら」
「いや、違くて。おかしいっていうか、可笑しいっていうか」
「やっぱり何か言っちゃってるじゃない！」
◇
「へえ、お友達の男の子もここにいるのね。じゃあもしかして、マグノシュタットに来た理由ってその子に会うため、とか？」
琥珀はペンを置いて一息つく。手だけを動かすのにも飽き、何と無しにしていた話をゲルダは大層真面目に聞いていた。琥珀としては適当に聞き流してくれていてもよかったのだが、興味津々に聞くゲルダについ話を続けてしまっていた。
「……それだけが全部な訳じゃないけど……」
琥珀はそう漏らす。その瞬間、自分が口を滑らせたことに後悔する。
ゲルダと話していて分かったことがもうひとつ。彼女は、この手の話題が好きなようだ。
ここは本心でなくともきっぱりと言っておくべきだったのだ。「そんなことが理由ではない」と。無駄に濁してしまったせいで、ゲルダは過敏に反応を示している。
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名無しさん(プロフ) - 恋葉さん» ボードのほうに書き込ませて頂きました。ご確認をお願い致します。 (2019年12月7日 1時) (
レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
恋葉(プロフ) - こちらこそ、返信が遅くなってしまい、すみません…。 そこまでで大丈夫です！箇条書きで私以外の人も見ることができるのなら是非、箇条書きでお願いしたいです。私はこの作品を作る作者様が本当に素晴らしいと思います。この話をいつまでも応援させていただきますね！ (2019年12月6日 13時) (レス) id: 18327d4b2f (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - →箇条書きなどで簡潔に纏める程度、そして恋葉さんのボードに書き込む形でもよろしければ、是非書かせて頂ければと思います。 (2019年12月4日 18時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - →ここまでの話というのは15.5まででよろしいでしょうか？ 後日、夢主がこうなった経緯の何から何までを作中のキャラクターに説明させる予定なので、あまり細かい描写はお約束できませんが…→ (2019年12月4日 18時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 恋葉さん» 恋葉さん、はじめまして。コメントありがとうございます。それから、返信がとても遅くなってしまい申し訳ありません。 理解力が長けていないなんて、そのようなことはありません。自分でもすごく分かりづらい話を書いているなあと毎日思っています。→ (2019年12月4日 18時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無しさん | 作成日時：2019年3月11日 18時
