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「そうはいかないわ」

 水中だというのに声が響いた。目の前のとてつもなく巨大な影は魚────いや、あの砦だ。

「あなたたちはこの『大聖母(オーム・マドーラ)』の砦の真の姿で、殺してあげる!」

 よく目をこらして見てみれば、岩の塊が動いていた。あれも魔法道具を使用しているのだろうが、あれほどの大きさを水中で動かせるほどの動力源は……果たして。

「魔法道具『冷気咆哮砲(れいきほうこうほう)』」

 岩の魚の口が光り出す。
 牙の先端から尖った氷が射出された。なんとか避けることができたが、水中では思った通りに体を動かすことは難しい。それに、そろそろ息のほうも限界が近づいていた。

「これは強力な冷気を放出する魔法道具だけど、海中で使えばこの通り、瞬時に水を凍らせて放つことができるのよ。さしずめ……
 『(サルグ)』の『(アルサーロス)』ってところかしら。ウフフフッ!」

 厭らしい笑い声をあげる。

「さあ、次こそ串刺しよ!」

 槍の雨。水中の岩場もそれに次々と崩されて行く。
 このまま避け続けても埒が明かないだろう。おそらく息が切れるほうが先だ。

 瓦礫が沈んで行く中、アラジンとアリババは目を見合わせる。
 こんなことが前にもあった。

 あの時バルバッドで、氷の槍が降りしきる中自分たちは何もできなかった。ジュダルの好きにさせ、結果沢山の怪我人が出た。

「ウフ、ウフフフフ、串刺しね……
 ──────死ね!!」

 モルジアナを抱え、息も続かずに身動きの取れない白龍を槍が狙う。
 だがその槍は圧倒的な熱量の前、アモンの剣に溶けてしまった。

「こざかしい、熱魔法が! でもねえ、海中で熱魔法なんて効かないわ! せいぜい目の前の氷を溶かすので精一杯じゃないの。ウフフフ、無力なぼうやたち!」

 そうだ。あの時もそうだった、とアリババは頭の中であの光景を思い出す。
 飛んでいるあいつ(・・・)に剣も炎も届かず、大事は仲間達が撃たれて氷漬けにされるのを見ているしかなかった。

 ────でも、もういつまでもやられっぱなしではいられない!

 杖を振るう。アラジンの得意技である『灼熱の双掌(ハルハール・インフィガール)』も水中では伸びない。

「無駄よ! 何もかもここまでは届かないわ!」

〃→←第127夜 氷の槍



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名無しさん(プロフ) - みぞれ@絵描き同盟さん» ありがとうございます慈悲をありがとうございます 次の説明欄にて書かせて頂きます!!!! (2019年1月15日 16時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぞれ@絵描き同盟(プロフ) - そろそろ14巻に突入なので質問コーナーに出没してみようかと えっと、琥珀姉さんの設定において企画段階と現在で 何か変更した点はありますか? (2019年1月15日 11時) (レス) id: 9020e988e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無しさん | 作成日時:2019年1月3日 0時

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