第127夜 氷の槍 ページ32
「これは全部預かっておくぜ」
がらんがらんと音を立てながら魔法道具が地面に転がっていく。
白龍の金属器は便利なもので、彼らを縛るのにも十二分に利用することができた。
「にしても、なんだこいつら? 大層な仮面を外してみりゃあ、全員はほとんどガキじゃねーか……」
「モルさんやアリババくんと同じくらいかなぁ?」
捕らえられ武器を奪われた子供達は実に無力だった。先程までアラジンたちを圧倒していた彼らとは到底思えない。泣き叫び助けを乞う子や、なんとかして自分たちを縛る根を噛み切ろうとしている子ばかりだった。
「どうしようオルバ!?」
「大丈夫だ! 絶対『
「『
アリババが首を捻ったとき、どこからかノイズのようなものが聞こえてきた。
それは声とは認識できそうにもない雑音。「大丈夫? ぼうやたち」となんとか聞き取れたが、頭までつんざくような音質と大きさにアリババたちは思わず耳を塞ぐ。
「『
子供達は泣き叫ぶ。きゃあきゃあと意味もなく声をあげるものに混じって、母さん、母さんと呼ぶものもあった。とても正常とは思えない。
『はじめまして、侵入者のぼうやたち。私は世界に生きる哀れな子供達の母、『
「泣かないで、ぼうやたち」とまた耳を切り裂くような声で女は言った。どこからしているのかも分からない。アリババがきょろきょろと見渡してみれば、ふくろうを模したような銅像が目に入る。おそらくあそこから声が出ているのだろう。
この砦には『魔法道具』が溢れ過ぎていた。
『私の息子を傷つけた『仇』、許せません。海の藻屑になりなさい』
途端、足場が崩れ去った。
さっきまで平坦だった地面は脆い砂のように崩れ去って行く。底は水だった。アリババはなんとか沈まないように岩となった地面を掴むが、上からも降って来る瓦礫に足場だったものは沈められてしまった。
全員冷たい水の中に放られる。アリババはアイコンタクトだけで無事を確認するが、モルジアナは泳げないようで口を押さえながらもがいていた。肺に水が入っている可能性もある。他の皆の息が切れないうちにも早く上がらなければいけない。
琥珀が使える、水中で呼吸ができるようになるあの魔法も水の中ではもうできない。手遅れだ。
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名無しさん(プロフ) - みぞれ@絵描き同盟さん» ありがとうございます慈悲をありがとうございます 次の説明欄にて書かせて頂きます!!!! (2019年1月15日 16時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぞれ@絵描き同盟(プロフ) - そろそろ14巻に突入なので質問コーナーに出没してみようかと えっと、琥珀姉さんの設定において企画段階と現在で 何か変更した点はありますか? (2019年1月15日 11時) (レス) id: 9020e988e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無しさん | 作成日時:2019年1月3日 0時