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「おい、白龍」
ルフの瞳を使って楽しく話しているアラジン達の後ろで、アリババは指をちょいちょいと動かして白龍を呼ぶ。声をほんの少しひそめて呼ぶ彼に、白龍はどこか不信感を覚えながらも返事をする。
「おまえ、なかなか『ザガン』を使いこなしてるよーじゃねーか。やるな……」
「はあ、ありがとうございます?」
アリババの右腕は馴れ馴れしく白龍の肩に回される。白龍は不信感を抱きつつも、一応としてお礼を言っておいた。
だがその後、アリババは「ええと」や「あれだよ」とごにょごにょし始め、一体何がしたいのかすら分からない。散々逡巡した後に、アリババはその顔を一層近づけて言った。
「……『魔装』も完璧にできちゃってたり、しないよな?」
沈黙。
波の音をたっぷり耳に溜め込んだ後、白龍はにやあと厭な笑いを浮かべた。
「さぁ……どうなんでしょうねえ」
「えっ、なんだよ、えっ!?できんの!?教えろよぉ!」
「いやです」
ゴチャゴチャと子供のように微笑ましい争いを始める。それを見てモルジアナはふふ、と笑みを零した。
「よかった、仲直りしたみたい」
「モルジアナ、あれは仲直りって言うのか?」
琥珀がツッコミを入れた瞬間、船の前方部から声が上がった。どうやら目的地はもう目と鼻の先のようだ。
船の戦闘まで出てみればその姿が見える。孤島、という名前をそのまま現したかのような小さな島がぽつんと浮かんでいた。
◇
「もっと欲しい人ー?」
「うめぇ〜っ!」
「ほらぁ、こぼすなよ!」
どこも子供、子供、子供。小さな子達の面倒を見ているものもいたが、彼らもせいぜい十代後半、といった程度だろう。
部屋は子供たちで溢れている。教会かどこかかと思ってしまうが、どこか異質だった。
髪の長い女が幼い子供を膝に乗せ、その頭を撫でている。他の子供達はそれを羨ましそうに見ていた。
一見すれば、賑やかな食事の風景。
「『
「そう。オルバはえらいわね。これからも弟たちをよろしくね」
聖母を絵に描いたような笑顔。オルバも海賊業をしている時とは違い、歯を見せて年相応の無邪気な笑顔だった。
聖母の笑顔から一転。「ああ、それと」と女は付け足す。
「町かた連れてきた子たちは逃げないように見張っておくのよ。もうすぐ、あなたたちの兄妹になるんだからね……」
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名無しさん(プロフ) - みぞれ@絵描き同盟さん» ありがとうございます慈悲をありがとうございます 次の説明欄にて書かせて頂きます!!!! (2019年1月15日 16時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぞれ@絵描き同盟(プロフ) - そろそろ14巻に突入なので質問コーナーに出没してみようかと えっと、琥珀姉さんの設定において企画段階と現在で 何か変更した点はありますか? (2019年1月15日 11時) (レス) id: 9020e988e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無しさん | 作成日時:2019年1月3日 0時