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彼がそう言ったのを合図のように、船からは悪趣味な仮面と帽子を身につけた少年少女達が次々と降ってくる。ロープを垂らして雪崩れ込んで来る彼らにシンドリアの兵達は何もできなかった。
「いただき!!」
歯を見せて下卑た笑いを浮かべる。兵達はその風貌や雰囲気に気圧され、戸惑うことしかできない。船長は彼らを知っているようだった。
「あれは、『
少年達は船の甲板に着地すると、腰に下げていた
だが、そのまま振るうわけではない。
柄頭についたピンを外すと刃部分が外れた。柄だけになった細剣を兵達に向ける。
「────魔法道具『
空洞部分から勢いよく水の弾が射出された。
それを兵達は腹部にまともにくらい、壁まで吹っ飛ばされた。おそらく肋骨は何本か折れているだろう。シンドリアでも見た事のない武器に逃げ惑っている。
「バッイバ〜イ!」
「ひっ……!」
頭から血を流し、床に倒れている船長に魔法道具を向ける。至近距離で顔面にあれを喰らえば本当に死んでしまうだろう。
その腹に、モルジアナの足がめり込んだ。
「き、君たち!」
アラジンたちは海賊を見据えた。それぞれの武器を手にし、それぞれの背中を互いに合わせて。
仲間がやられたことによって興奮状態になったのか、海賊共は所々抜けた歯を見せながら雄叫びをあげた。
「ルフたちよ!」
大気中のルフが集まり、弾となって襲いかかる。海賊たちを無駄に痛めつけることもなく、なおかつ自分の魔力の消費量も抑えたアラジンらしい戦い方。
アリババ、モルジアナ、白龍、琥珀となぎさたちも海賊を次々と蹴散らしていく。彼らもまさかここまでとは思わなかったのか、仮面越しにもその焦りが伝わってきていた。
「な、なんだこいつら、普通じゃねえよ!?」
「オルバ!」
「頼む、オルバ!」
彼らは次々とその名を呼ぶ。オルバ、と呼ばれた人間は先程の少年だった。
彼よりも体格の良い海賊たちが頼る少年。奥から出てきた彼にアラジンたちは警戒する。
「情けねぇ。てめぇら、それでも『
「す、すまねぇ」
頭を下げる男の頭にオルバの手がぽんと置かれる。彼のほうが歳も体格も下だろうに、それは弟を気遣うような仕草に見えた。
「どいてろ」
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名無しさん(プロフ) - みぞれ@絵描き同盟さん» ありがとうございます慈悲をありがとうございます 次の説明欄にて書かせて頂きます!!!! (2019年1月15日 16時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぞれ@絵描き同盟(プロフ) - そろそろ14巻に突入なので質問コーナーに出没してみようかと えっと、琥珀姉さんの設定において企画段階と現在で 何か変更した点はありますか? (2019年1月15日 11時) (レス) id: 9020e988e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無しさん | 作成日時:2019年1月3日 0時