第123夜 海賊 ページ15
叫び声。
血。
火。
────それに、すこしの金色。
逆らえば髪を掴まれる。
反抗すれば剣で刺し貫かれる。
ただ生き残るためには、自分の持つすべてを捧げるしかなかった。
悪趣味な仮面をつけた男達は、手にした金目のものを舐め回すように眺めてからまた笑う。下卑た笑いはあたりに響いた。
「『
若い男────声からして、まだ16歳程といったところだろうか。扉を開け、中にいる女性にそう言った。
女性は艶のある黒髪をなびかせて顔を上げた。その両腕には幼い子供、さらに多数の子供がその足にすがりついている。子供達は皆、目を隠すように仮面らしきものをつけている。
異様な光景だった。
「そう、ごくろうさま。もう一回りして来てくれるかしら? 今、この子たちの食事の時間なの」
そのままうふふ、と笑いながら小さな口にスプーンを運ぶ。一見して愛しい子供に食事を与えている母親のようにも見えるが、どこか底知れぬ奇妙さがあった。
それを一回り大きい少年が見て頬を緩めた。彼の腕の中にも子供が抱かれている。
「『大聖母』!!」
食事を切り裂くような叫び声。
「大変だ! 沖に船が一隻! 軍のじゃなさそうだが、大きい……助けてください!」
「どうしましょう、困ったわねぇ」
女は困ったように頬に手を当てた。腕に抱かれていた子供も一転して泣き声をあげ始める。
さっきまで嬉しそうに微笑んでいた少年の顔からは笑顔が消え、自らの右手────フックのような義手に手をかけた。
◇
「もうすぐ着くねーっ!」
潮の香りに包まれた船。
甲板に出たアラジンは遠くに見える港を眺めながら言う。そこへ、にこにこと優しい微笑みをたたえた老人が歩み寄ってきた。
「無事に着いたのは、君たちが南海生物を退けてくれたおかげじゃよ」
「船長さん!」
航海中、幾度となく南海生物たちが襲ってきた。だがそのすべてを……主にアリババが退け、仕留めていた。
「アリババ殿にばかりお任せしてしまいましたね?」
「いや、つい張り切っちまってな?
モテないから、ちょっとはいいとこ見せないと、と思ってな!」
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名無しさん(プロフ) - みぞれ@絵描き同盟さん» ありがとうございます慈悲をありがとうございます 次の説明欄にて書かせて頂きます!!!! (2019年1月15日 16時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぞれ@絵描き同盟(プロフ) - そろそろ14巻に突入なので質問コーナーに出没してみようかと えっと、琥珀姉さんの設定において企画段階と現在で 何か変更した点はありますか? (2019年1月15日 11時) (レス) id: 9020e988e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無しさん | 作成日時:2019年1月3日 0時