4 ページ4
学校に行って
ほとんど親が人脈を作りたいが為だけに集まった女子生徒達と勉学に励んで
アルバイト禁止、寄り道禁止の校則の下、自習を夜遅くまでして帰る
それが私に用意された毎日のシナリオ
大学に行ったら自由になれるはずなのが救いとして残ってるから、その時の為にお小遣い稼ぎ
でも、もう厳しいかも
前までは本当に時々しかやってなかったけど最近は頻度が高いから、降りる駅が被らないようにしてても、別の駅の駅員さん達と話が広がってるみたい
一昨日は、事務室入った後に
駅『君よくこういう被害に遭ってる子だよね?こっちは証拠とか無いからよく分かんないけど、警察に相談してみたらどうかな?学校の先生にも言ってみるとか』
翻訳すると、
"冤罪の証拠は無いけどそろそろ警察や学校に通報するぞ"
って事
警察に捕まったり学校に処分される事自体が怖いわけじゃない
ただ、親に知られたくないだけ
男『次はー秋葉原ー、秋葉原ー』
どうしよう
まだ目標の金額に達してない
"あの人"の事は忘れるとしても、まだお金が足りてない
他に稼ぐ方法って言ったら......パパ活とか、援助こう.......だけどそれは無理
いくらなんでもそういうのは出来ない
じゃあ.......
もう
.......あと一回だけ
この一回で
出来るだけ
お金を
「っ!!」
........心臓が止まるってこんな感覚なんだと思った
今日のターゲットの手首を掴もうとした手首を逆に誰かに掴まれて
まさか本当に痴漢が、って思うと怖くて後ろを振り向けない
当たり前だけど、お小遣い稼ぎが成立する為に乗ってるのは満員電車
だからなんとなく分かる、後ろに立たれてるのは男性
目の前はドアの窓ガラス
アナウンスではもうすぐ秋葉原
恐ろしく長く感じる時間
掴まれた手首は離される気配も.........
滑稽だと思う
なんでもない時は威勢よく"痴漢だ"って声を上げられたのに
いざこうなったら何も出来ずに泣きそうだなんて
無駄に短くしたスカートを憎く思いながら
男『秋葉原ー、秋葉原ー、お出口は右側です』
人混みのホームを映す景色が減速していく
怖くて
これじゃ降りれない........
そんな
誰か
........でも
「.......っ...........」
こんな再会はしたくなかった
じゃあどんな再会を望んでたのかは分かんないけど
少なくとも
ぶかぶかな上着を羽織らされて、その中で泣きっ面を隠す再会じゃなくてさ
143人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:∂ | 作成日時:2022年9月4日 19時