黒い車から逃げて白い車に轢かれたら【降谷零/安室透】

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安「よく頑張りました。ほら、泣かないで下さい」

「っ......ぅっ.......」





自由には動かせない身体を必死に小さく丸めて、捕食される寸前の小動物のように震える少女

......こんな趣味は無いからこそ心苦しい一面もあるが.......





安「これからは嘘をついたりしようとはしない事です。ちゃんと真実を話してさえくれれば危害は加えないと約束します」

「........うぅっ.......」





受け取ってくれそうにないティッシュペーパーをシーツの端に置いてみても警戒は解けないらしい


そんな彼女の話によると、ジンやウォッカから暗殺対象の情報が記載された紙と共にAPTX4869を渡され、......その先は説明不要だろう


だが組織も甘く見過ぎたな


この歳の女の子なら相手に、それこそ警戒されずに毒薬を飲ませられると考えたんだろうが、所詮はたった数年前までごく普通の民間人
警戒以前に、殺しを平気でやって退けれるわけがない

心理的なストレスに迫られ、もう無理だと任務を投げ出したのがあの夜だったわけだ


暗殺の現場だったホテル前でジンとウォッカが"迎え"と称する見張りをしていたが、この子はそれをすり抜けて逃亡

入り組んだホテル街では、あのジンでも無闇な発砲は出来ず、車での追跡も困難だったのは容易に想像が出来る


だから僕に轢かれるあの時まで捕まらずにいた、という事か........





「ぅっ........こ、これから私は、どうなるんですか.......？大事な薬と......暗殺リストを失くしたから.......殺すんですか.......？」





そう大粒の涙を流しながら、信用してくれていない事を示して来る揺れる目線

ウォッカが言っていた"組織の情報"というのは暗殺リストと考えられる
APTX4869と共にそれを見つけ出せれば少しは時間稼ぎに.......





安「そうですね、僕と暮らしましょうか」





と精一杯優しく言ったつもりの提案に、黒く絶望の色を示す濡れた瞳





安「心配しないで下さい、転校してもらいますが学校には行かせてあげますよ」

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