共犯者に恋をしてはいけません9【安室透/降谷零】

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あり得ない


パジャマのまま
コンビニに行くくらいのテンションで行った区役所
一秒もまだ付き合ってないのに受理された届出


あまりにも簡単に、雑に、急に.....


ただ茫然と、どこを見て何を喋ればいいのか全く分からずに





ハ「アン！アン！」

降「ただいま、よしじゃあ散歩に行こうか！」





流れるのは何かが違う日常


どういう事？

ずっとキラキラしてたあの子達と、クズ達の欲望をただ受け止めながら万引きを繰り返してた私が同じように結婚？

お昼にはまだ、先輩とああだったのに？

それとも、やっぱり最初からそういう目的だったとか？

流行りの年の差婚
若い子を好きなように出来るのはどんな男だって望むでしょ
親に愛されてなかった私ならこんな歪んだ婚姻に首を突っ込んでくる人もいないし

そういう事なんじゃ.......と考え出したら止まらない



側から見たら馬鹿かもしれない

4年も好きで、
自由にさせてくれて、
何度も助けてくれて、
ずっとそばにいてくれた人なのに、今更信じられないなんて


でもこんないきなり結婚だとか言われたら、疑心暗鬼でおかしくなっちゃうのは許して





降「全く、まだ飲み込めないのか？」

「.........」




いつの間にか散歩が終わって戻って来てた玄関
リードを外されたハロがまっすぐ寝室に走っていたのを見ながら




「.......ヤりたいなら早くしよ、

降「なっ

「明日朝早いんでしょ、ならもう、っ」

降「そう急ぐな、雰囲気作りくらいさせてくれ」




半分パジャマの前のボタンを開けたところで手をグッと掴まれて
そのまま引かれて行く部屋の奥


もう自分でも何を考えてるのか分からないくらいに頭の中も心の中もごちゃごちゃだった


だから口先には全く余裕が回らなくて、"何でもいい"ばかり言ってたら
並んで座らされた金髪のベッドの前、ノートパソコンに良く分かんない映画が流れてた

良く分かんないって言うのは、それどころじゃなくて内容が全然入って来なかったから
でも多分いい映画だったんだとは思う



だって




降「はぁ......せっかく定額制のプランに加入したんだからもう少し集中して見ろ」

「......な....こと.....言われても.......」

降「自分がどうしたいかだけ考える、出来るか？」




思惑通り雰囲気作りには成功したらしいから


お願いだから、誰かこれが私のファーストキスだと認めて


何でよりによっておじさんを好きになっちゃったんだろ



ドキドキと



今私、人生で一番恋してる

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