共犯者に恋をしてはいけません【安室透/降谷零】

47 ページ47

降「っ、おい！」



当然ながら気は乗らなかったが命令に従いこの少女を見つけ出して来たというのに



降「乱暴はするなと言ったはずだぞ！」



そう最初から怒りの形相で、後部座席に上体だけ横になった少女に駆け寄り
その後ろ手を拘束している手錠を外しにかかる上司
そして次に口を塞いでいたハンカチを引き抜かれると、それは私のスーツの胸元へと飛んで来た



降「これで誘拐暴行と何が違う！お前はそれでも警察官なのか！！」



少女の咳き込む声と上司の怒号が響くここは警視庁地下駐車場
私だって、いや我々公安部だって限界なのだ

何故こんな軽蔑を免れない少女の世話を公安がしなければならないのか
降谷さんは良い子だと仰っていたが、蓋を開ければどうだ
未成年ながらクラブで酒を飲み、年齢を確認しない店側も悪いがそういう所へ知って行く精神が卑しい
そして結局こう降谷さんに迷惑をかけている

"良い子"とは程遠い



降「...正気とは思えないな」

風「少女が暴れ騒ぎ言う事を聞かなかった為仕方なく

降「それはお前がしっかり彼女に向き合わなかったからだろ！どういう事情か説明したのか？何故クラブにいたのか説明する機会は与えたのか？どうせお前が彼女を悪だと最初から決めつけたんだろ！」



と今にも殴りかかって来そうな勢いで

分からない
何故降谷さんがそこまで少女の肩を持つのか
あの誕生日の夜から聞くに聞けずずっと疑惑を抱いていたが、もしかして降谷さんは本当に彼女と最後までしてしまったのではないかと
だからこれ程までにこの少女に入れ込んでいるのだと

もちろんそうは思いたくなかったが、全くのサービスで一人の女子高生にここまで至れり尽くせりなさる理由がそれ以外に思い付かなかった



降「...風見、お前のことはよく信頼していたつもりだ。彼女への態度も、A本人が気にしていないと言うから大目に見てきたが、」



立場もあり言い返しても仕方ない、と俯き黙っていた私に背筋に汗を流させたのは
低く圧倒的な威圧を含んだ"頭を冷やして来い"という声



風「...はい」



全てあの少女のせいだ




・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

降「何か食べるか？」

「...この状況であんた最初にそれ」

降「いいじゃないか、食は幸せの基本だぞ」

「怒りなよ、馬鹿でしょ」

降「まずは腹を満たすのが先決だ。どうせクラブに行ったならついでに居酒屋も行ってみるか？」

「...マジで脳みそ腐ってんの？」

48→←46

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す