共犯者に恋をしてはいけません【安室透/降谷零】

45 ページ45

安「2週間くらい前には別れてた...Aがですか...？」

蘭「はい、相手の男の子がそう言ってたんです。Aちゃんが今日早退しちゃった後に聞いた話なので、詳しくは聞けてないんですけど...」



この時の衝撃はよく覚えている
相手が組織の人間だとか、なんならあのFBIの男だったらそこまでは驚かなかっただろう
だが相手は、言葉は悪いがただの女子高生
この身分でありながら、まるで騙されたような展開に息を呑んだ



安「...まさか、つい今日、彼氏にプレゼントを買いたいからとお金を

コ「Aお姉さん、最初から別に好きな人がいたんだと思うよ」

蘭「え？」

園「何変なこと言ってんのよ！ガキンチョは黙ってなさい！」

コ「あ痛っ！...だって、帰り道でたまに一緒になった時、これからデート行くって言うのに全然嬉しそうじゃなかったよ！それに同じ学校なら彼氏と一緒に下校すればいいじゃない」

園「そんなの人それぞれよ！好きでドキドキするからあまり長くは一緒にいたくないとか、あんたに乙女心は分かんないのよ」

コ「...でもどっちにしろさ、じゃあ2週間前からAお姉さんは何してるのかな？」

蘭「...うん、確かにちょっと心配だね...別れても教えてくれなかったなんて...安室さんはAちゃんとは会ってないんですか？」

安「...実はほとんど顔を合わせていないんです...てっきり毎日彼とデートへ行っているのかと...」

コ「安室さん、ちょっと」



突然小さな少年に手を引かれて、その背丈に合わせてしゃがんだ後
こっそりと聞かされたのは

最近、Aから少しタバコっぽい匂いがしていたという話

"もしかしたらまた..."と付け足したコナン君は、蘭さんや園子さんに変に何か悟られてしまわないように気を遣ってくれたらしい
相変わらずよく出来た少年だ


そこからいよいよ不安になり、梓さんには迷惑をかけるが簡単に事情を話して残り2時間ほどのシフトを先に上がらせてもらった

防犯システムはうちのアパートより何倍もしっかりしているマンションへ向かい、合鍵で部屋を訪れるとやはり誰もいない
それまであまり踏み込み過ぎないようにと遠慮していた通話も掛けたが応答無し
窓の外は次第に暗くなり、部屋の明かりを付けることにも思考を割けずにあの少女の帰りを待った

19時
20時
21時
22時
と時が過ぎても未だに鳴らない携帯電話

...仕方なかった



風『あんな少女放っておけば良いではないですか！』

降「...頼む、探すのを手伝ってくれ」

46→←44

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す