共犯者に恋をしてはいけません【安室透/降谷零】

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「...どっから盗んで来たの」

降「盗んでいない」



あの夜
ここに来て初めての夜
ホテルにいた時と同じように"早く寝るんだぞ"と言い残して去って行った金髪に、帰っちゃうんだと思った私

メガネの話だと、金髪は今住んでるアパートからここに引っ越して、ってつもりだったみたいだし
何となく一緒に住むものだと錯覚してた
そっちの方がよっぽど気持ち悪いのに、変にしょんぼりしたような謎の気持ち



降「着てみたらどうだ」

「じゃああっち行っててよ」



結局この人にとって、こんな事してるメリットって何なの？
私が将来本当に大金持ちになる可能性なんてほぼ無いし、今してくれてる事へのお返しすら出来るかどうか分からない

お父さんがどうなったのかも分からない
死んではないらいしいけど、"もうお前に近づいて来る事は無い"ってだけ
でもそれも他人に漏らすなって

ただ一つ教えてくれたのは

降『公安は違法作業が得意でね』

...また一つ罪を犯してくれたらしい
共犯者様様...？



降「いいじゃないか、女子高生らしくなって来たな」

「っ、勝手に入ってこないでよ！」

降「ネクタイの結び方が分からないか？」



無視するな、と言いたい気持ちを抑えて
確かにあれからも毎日消毒と手当ての交換をしてくれてるから、下着さえ脱がなければ恥ずかしいも何も無いんだろうけど

なんならもう今更、脱いでも恥ずかしくないはずなのに

はずなのに



降「座れ」



そう言いながら自分のネクタイを素早く外した金髪
そのままに隣に座られると



「っ...なんか今日おばさん臭くない？」



軽くだけど、そんな匂いがした



降「一緒にいた女の香水だろうな、臭うか？」



一緒にいた女...



降「嫌ならシャワーでも浴びて来るが」

「...いいよ...っていうか、人ん家のシャワー当たり前みたいに使おうとしないで」



本当に
何で私なの


そこから一歩ずつネクタイの結び方を、横並びで座ったベッドの上自分の物で実演しながら教えてくれた
窓の外で太陽が沈んで行く中

でも結局



降「慣れるまでは時間がかかるだろう」



と私の首元に伸びて来た手で綺麗に結び出して
最後は締め上げるようキュッと...苦しくは無い



降「それを、抜けない程度に緩めて外せば結び直さなくていい。しばらくはそれで制服を着て、これをやるから、空いてる時間に練習してみろ」



渡されたのは、やっぱり若干おばさん臭い匂いがするようなシンプルなグレーのネクタイ

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