共犯者に恋をしてはいけません【安室透/降谷零】

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「っ、ちょっ、は！？」

店「ではあちらでお待ち下さーい」



なんで？
自分は目立つからってナルシストみたいな理由で車で待ってるんじゃなかったの？
私が変に気を遣わないようにって意味だったのは分かるけど
可愛い下着買いたかったりだとか、
化粧品に延々迷ったりだとか、ね



降「ほら、邪魔になるぞ」

「待っ、買わないって！ねえ！！」



腕は痛むって分かってるからか
わざわざ手を引いて来るエセ外人

いつから？
いつから着いて来てた？
なんなの？



「勝手な事しないでよ！っていうか何でここに

降「仕事柄、尾行は得意でね」

「...はあ？何言って

降「渡した金はどうした？」



夜風に靡く髪が顔にかかって
美容院にすら行った事ないかもと思い出す
それでショートヘアの子が羨ましかったりしたっけ
ロングからロングくらいなら良くても、ショートまで自分で切るのは怖くて出来ないし

2万だろうが10万だろうが稼いでも、どうせ伸びる髪に使わせてもらえるお金なんて無い



降「どうして何も買わない？」

「あんたに関係無いでしょ」

降「俺が渡した金だろ、関係無いわけがない」



"カラオケ行く？"
"プリ撮ろうよ"
だとか流れるように聞こえる私の知らない世界

私はここでクレープ一つも買えない
今日"仕事"をしなくて済んでる事や原宿に来れた事だけでも喜ぶべきなのは分かってる



降「何か他に欲しいものがあるのか？」

「....」

降「...父親か？」

「っ、うるさい！クレープ私買ってないから、あんたが自分で食べて」

店「チョコバナナのお客様ー」



惨めだ
虚しい
やっぱり来るんじゃなかった

ただただ物欲だけ増して馬鹿じゃん
一生買えるわけないのに
一生経験出来ない世界なのに

クレープを受け取る金髪の背中を見ながら
この人の目的は何？

何で誕生日だって知ってんの？
何で万引き庇ってくれたの？
何の為？
何の利益を持って2万円をタダ同然でくれてるの？
尾行が得意ってどんな仕事？

もしかして怪しい？



降「受け取れ」

「要らない」

降「食べたいんだろ？」

「っ...」



クレープ食べるより、殴られない方がいい
後でこの分のお金返せって言われたら



降「金の事は気にするな、たかが500円を未成年から取り返す程俺は大人気ない人間じゃない」

「...騙されないから」

降「信じてくれとは言わない。本当に、俺はお前に少しでも良い誕生日を送って欲しいだけだ」

「...何も知らないくせに」



甘い
いい匂い

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