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32話 ページ33

社長さんは考えるかのようにしばらく黙っていたが、やがて私に問いかけた。

「ここは武装探偵社というだけあって、危険な依頼も取り扱う。それは分かっているな?」

「はい。」

危険な依頼を取り扱ってるからこそ、職場襲撃とか受けるんだろうし…。

「どんな状況であれ、人を助けるという覚悟はあるか?」

私は大きく頷いた。
「勿論です!」

しばらく私の目をジッと見ていた社長さん。うむ、と一つ頷いた後、
「有川Aの入社を許可する。」

そう言われた時、私はほうっと息をついた。
─────────────────────
「敦君や乱歩さん、国木田君は知ってると思うけど、今日また新たに新入社員がやってきました!Aちゃん、入っておいで!」

そう言う太宰さんの声が聞こえたので、私は扉を開けて、探偵社の社員の皆さんが働いている部屋に入った。そして今度こそ普通の自己紹介をする。

「有川Aです。今日からここで事務員として働く事になりました。お仕事精一杯頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします。」

そう言ってペコリと頭を下げた。

「まぁ!小さい女の子ですわ!かわいい!私も事務員をやっているナオミといいますの!宜しくお願いしますわ!」

最初にナオミさん…あの時路地裏で撃たれてた人…がそう言って挨拶してくれた。

次に、路地裏で背中に怪我を負っていた谷崎さんが挨拶してくれた。
なぜだかげっそりしていて、目が虚ろだ。

「…あぁ…僕に休憩時間を与えてくれた事に感謝するよAちゃん…。僕は谷崎潤一郎、ナオミの兄だよ…宜しく。」

その次に蝶の髪飾りをつけた綺麗な女の人が挨拶してくれた。
…どうしてだか知らないけれど、黒いスカートの所々に血が付いている…。

「妾は与謝野晶子、探偵社で医者をやってるよ。アンタも怪我したら言いな?妾が治してやるよ。

サァて谷崎?治療の続きだ、行くよ!」

「ひっ!い、嫌だぁ!!!」

絶叫する谷崎さんを与謝野さんは引きずっていった。
ナオミさんはなぜか恍惚とした笑みを浮かべているが、それ以外は皆憐れむような目を谷崎さんに向けている。

「さっき会ったと思うが俺は国木田だ。小娘、いい事を教えてやる。探偵社で絶対に怪我はするな。さもないと…」

国木田さんがそう言った直後、奥の部屋から谷崎さんのものと思われる絶叫が…。

「あぁなる。」

「…国木田さん、あれは何をしているんです?」
私がたずねると、国木田さんはメガネを抑えながら言った。

「…治療だ。」

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椿(プロフ) - 敦くんの茶漬け食いたい(( (2019年2月20日 18時) (レス) id: e36d1c7298 (このIDを非表示/違反報告)
小山田リリ - ましゅ麻呂さん本当に尊敬します!!私も頑張ろ)) (2019年2月19日 20時) (レス) id: 196d5d8b2f (このIDを非表示/違反報告)
茨姫 - とても良かったです!私も頑張ってみようと思ってみました! (2019年1月26日 22時) (レス) id: 6a42e59c6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましゅ麻呂(とよ) | 作成日時:2019年1月26日 20時

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