カーネーション 2【爆豪勝己】 (ページ36)

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私のヒーローページ36

「お嬢ちゃん可愛いねぇ。俺と遊ばない？」

はぁ、と思わずぽかんとしてしまうA。
目の前に居る男はAを品定めするかの様にジロジロと眺める。Aの事をお気に召したのか、ひゅーと口笛を吹いた。

変なのに捕まってしまったと自分の事運の無さにため息が出てしまう。

「見れば見るほどかーわいいねぇ。ほら、お兄さんが何でも買ってあげる！」

「ちょっと、」

馴れ馴れしくAの腕を掴み引っ張る。そのままどこかへと連れて行こうとAを無理矢理立たせたナンパ男。

ヒーローを目指す者として、こんな男はなんて事もないのだが、せっかく爆豪とのお出かけを騒ぎにしたくなかったA。

「おい。」

個性を外で使うのは基本禁止だが、穏便にすませる為にこの際仕方が無いと決め、どこかへ瞬間移動しようと決めた時、とても不機嫌な声が聞こえてきた。

「テメェ、許可無く誰のモンに触っとんだぁ？アァ？」

Aの腕を掴む男の手を掴み、Aから手を離させる。そしてそのままAを自分の後ろへと移動させた爆豪はそのまま男の腕を捻りあげた。

「い、いててて！！」

あまりの痛さに顔を顰めた男は爆豪の顔の怖さも相まって恐怖の余り尻もちをつく。それによって男の腕から爆豪の手が離れる。

そのまま躓きながらも逃げていく男に爆豪はフン、と鼻を鳴らした。

爆豪の背中越しから一連の様子を見ていたAはぼーっと爆豪の後ろ姿を眺めた。
ドクドク、と心臓が煩い。
　

「(………男の人の背中、だなぁ。)」

ヒーローを目指すAにとってこの先守る事はあっても守られる事は少ないだろう。

でも爆豪はこの先も変わらずAのヒーローでいてくれるのではないか。
いや、そうであってほしい。

荒い言葉遣いも、不器用な優しさも、熱い眼差しも、Aに向けられるもの全てが愛しいと気付いた。

一度気付いてしまえばもう止まらないし、止められない。

「(……私は、……勝己君が好き…。)」

自覚した想いをすぐに伝えられるほどの勇気はAにはない。

「(……あれ…？？)」

だが自分の気持ちに自覚してからというもの、爆豪が格好よく見えて仕方がないA。
こちらを射抜くその瞳も、声も、仕草も、全てが好きだ、と心臓が煩く喚く。

「(今までどんな風に接していたっけかな……。)」

自覚した想いに振り回される事になるのは言うまでもない。