カーネーション 2【爆豪勝己】 (ページ30)

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一通の手紙ページ30

「瞬矢。」

「常闇君、どうしたの？」

休み時間になり教室で談笑していた時に、珍しいことに常闇がAへと話しかけてきた。
何の用だろうと首を傾げるA。

「職場体験の時にこれをホークスから預かった。」

そう言って常闇から渡された手紙をAは受け取る。

「…なんだろう？直接連絡してくればいいのに。」

人伝に頼むなんてらしくない。疑問を呟いたAだが、それを聞いたA組一同は一瞬で静まり返る。明らかに知り合いである事が分かる発言に驚いた。
だがそれに気付かないAはもらった手紙を読み始めた。

「(あ、これは有名ケーキ店の招待券…！！しかも女子の人数分！！！)」

Aの大好物である有名ケーキ店の招待券を手紙と一緒につけてくれたホークス。
事前に何も知らなかったAは喜んだ。
ふふふ、とにやけながら招待券を眺めていたAだが、ふと周りが静まり返っている事に気付き顔を上げた。

「………え？」

Aは固まった。
なぜならクラス全員の視線がAへと向いていたから。
一瞬間を置いた後、驚愕の声で一斉に騒がしくなった。

「ちょっとAちゃん！？ホークスと一体どういう関係なん！？？？」

麗日を筆頭に質問攻めを受けるA。次から次へとくる質問に圧倒されてしまう。

「ちょ、ちょっと落ち着いて…。」

「落ち着いていられるかぁ！ホークスとは知り合いなの？もしかして…。」

芦戸の顔が好奇心から輝いてみえる。もともとこういう話が好きな彼女は何か変な妄想をしている気がするので変な事を言われる前に訂正しようと口を開く。

「話せば長くなるんだけど……あ。」

するとタイミングの悪いことにチャイムが鳴り、次の教科の先生が入ってくる。変なところで区切られたせいでモヤモヤが残る噂好きの女子達は渋々自分の席へと戻った。

「(…………は？)」

一方の爆豪は自分の耳を疑った。
Aとホークスが知り合いだった事は勿論知らなかったし、知り合い程度なら正直問題ないと思う。
だがホークスからもらった手紙を嬉しそうに読んでいたAを見て、胸に広がるのはどす黒い気持ち。
じわっと埋め尽くされていくその気持ちにいても立ってもいられないが、残念ながら今はもう授業中。

「(……絶対後で問いただす。)」

次第にイライラしてきた爆豪は最早授業など聞いていなかった。

そんな爆豪のただならぬ気配を察知したAは思わず身震いしたのだった。