カーネーション 2【爆豪勝己】 (ページ24)

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ある日の個性事故 8 ページ24

「……………え？」

起きて早々間抜けな声を出してしまったA。それもそのはず、目の前には爆豪。
Aを正面から抱き締める形で眠っていたのだから。

「(え、え、え？？？なんでこんな事に…！？)」

必死に寝起きの頭で考えてみても、昨日は見知らぬ男の子の個性によって爆豪と手が繋がってしまった状態で眠った事までしか記憶に無い。
その繋がれてしまった手はどうやら寝ている間に離れたようで今は自由だ。

「(ど、どうしよう…。近いし、なんか良い匂いするし！！)」

自分の個性で抜け出す事なんて頭からさっぱりと抜けているAはただただ焦る。
そうしている内にも爆豪の腕は強くなり、更に抱き締める力が強くなった。
それに比例して、Aの心臓も早く強く鳴ってしまう。

「(心臓がもたない……。なにこれ……。)」

尋常じゃないくらい高鳴る自分の心臓の音によって爆豪が起きてしまわないか気が気でないAはそっと爆豪を覗き見た。
するとぱちり、と爆豪と目が合った。

「わっ！！…お、おきてたの……？」

まさか起きているとは思っていなくて元々熱かった顔が更に熱を帯びていくのが分かる。
そんな顔を見られたくなくて顔を伏せるも、その体勢だと爆豪の胸に顔をつけるようにしかならない。
またしても自分の胸へときたAに不覚にも胸が高鳴ってしまう爆豪。
必死に冷静さを装い口を開いた。

「…赤ぇ。」

「う、言わないで……。だってこんな体勢、恥ずかしい……。」

一度赤い顔を見られてしまったAは諦めてもう一度顔を上げた。
だが、恥ずかしさから若干潤んでいる目を向けてしまっている事をAは気付いていない。

「っ！！やってくれんじゃねぇか……。」

好きと自覚した爆豪にそれは相当くるものがあったが、どうにか冷静になろうと我慢する。

「…？」

不敵に笑う爆豪を見て不思議に思うA。なんかしたっけ、と考えてみても分からない。

「ば、爆豪君？そろそろ起きないと…。」

それにしてもずっと抱き締められているこの状況が気になってしまうA。
もぞもぞと動くAに爆豪はため息を吐く。
自分だけが自覚したこの想いに納得いかない爆豪は決心した。

「…覚悟しろよ、A。絶対落としてやる。」