カーネーション 2【爆豪勝己】 (ページ19)

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ある日の個性事故 3 ページ19

「(勝己君の手っておっきいなぁ。)」

午後の授業も変わらず前後の席で受けていたAは繋がれた爆豪の手を眺める。Aが後ろの席で後ろに手を伸ばした状態で前に座っている爆豪。

ちなみにAは利き手である右手が爆豪と繋がれているのでノートを取れないので暇なのだ。
そんな状態だからこそよく見る事ができた。
Aの手をすっぽりと覆う大きな手はごつごつしていている。

「(男の人の手、だなぁ…。)」

繋いでいると安心するその手。
こんな事故もたまには悪くないな、そう思ったAだった。

ーーー

「てかよぉ、お前ら家はどうすんだ？」

帰りのHRも終わり帰り支度をしていると切島が尋ねてきた。
その言葉にAと爆豪は同時に固まる。

「勝己君、うちに来る？」

私一人暮らしだから大丈夫だよ、その発言に聞いていた者は悲鳴を上げた。

「はぁぁああ！？？瞬矢の家だとぉ！？爆豪、お前ずるいんだよぉお！！！」

欲の塊、峰田は怒る。何故爆豪だけがそんな良い思いをするのだと。

「あ゛？ふざけんなモブが！！」

「どーせ瞬矢の部屋であんな事やこんな事するんだろぉお！！ずるい！ずるすぎる！！」

「何もしねーわクソがぁ！！！」

目を血走らせた爆豪によってボロボロにされた峰田。だがこの後の事が気になるのは峰田だけではない。

「A大丈夫かなぁ。爆豪に襲われないかウチ心配。」

「誰が襲うか耳女！！！」

「爆豪君、手早そうやもんね～。」

「あ゛！？いい加減にしろよ丸顔！！！」

「ラッキースケベありそう…。」

「クソアホ面ァ！！！」

上から耳郎、麗日、上鳴。
自分を何だと思っているのか、と爆豪は思う。
こんなのを相手にしていたらキリがない。

「あ、爆豪！」

自分達を囲うようにいた人混みを無理矢理どかして通っていく。
他人事だと思って面白がって、と爆豪は舌打ちと共に心の中で悪態をついた。

無我夢中で半ば引っ張るように駅へと向かって電車に乗る。
その間Aは黙っていたが結局今夜どうしようと悩んで爆豪へもう一度尋ねた。

「……お前の家には行かない。」

爆豪はそう告げて、手は繋いでいるもののAの一歩前を歩いた。
Aの最寄駅を通り過ぎ降りた駅は爆豪の最寄駅。
もしかして。

「うちにお前を連れて行く。」

前を向いている爆豪の表情は見えない。
ただ、事故にしろこうして手を繋いで帰るのは2回目だなぁと思いながら爆豪の後ろ姿を見つめていた。