カーネーション 2【爆豪勝己】 (ページ16)

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拘束された男ページ16

決勝戦は圧巻だった。

戦う度にセンスが光っていく爆豪と派手な技を繰り出す轟。
だが轟は緑谷戦の時に使った左側の火を使わないので、爆豪に怒りが募っていく。
そのまま左側を使う事なく爆豪の渾身の技を喰らい気絶。荒れた爆豪を審判のミッドナイトが個性を使って眠らせて試合終了。

「締まんねー1位だな……。」

時は過ぎ表彰式の時間となり、3位A、2位轟、1位爆豪の順で表彰台に登る。
だが1位である爆豪は結果に納得いっておらず拘束具をつけられているのにも関わらず大暴れをしている。

メダル授与はするのはオールマイト。
かっこよく現れたオールマイトに会場はざわめく。

「瞬矢少女おめでとう！君の個性は素晴らしい！更に努力すればより良いものとなるだろう。頑張れ！！」

「はい！ありがとうございますオールマイト。」

オールマイトが首にかけてくれたメダルを改めて見る。今年は3位だったが来年は更に上を目指そうとメダルに誓う。
轟にもメダルをかけ、最後は1位の爆豪ということでオールマイトは爆豪の口についている拘束具を外したが案の定試合結果に納得のいかない爆豪は文句を言う。

「(顔やばい…)」

これでもかというくらい目を吊り上げた爆豪にオールマイトは無理矢理メダルをかけようとする。かけるといっても頑なに頭に通させない様にするものだから口へと引っかけるオールマイトだった。

ー

こうして雄英高校体育祭は終わった。
帰りのHRも終わり明日明後日と二日間休みにしてくれる事に感謝した。

皆疲れたのか特に残る人もいなく帰って行く。
Aもその1人であり駅で電車を待つ間ベンチに座った。
個性をたくさん使用したのと、リカバリーガールによる治療で疲労感が半端ない。
このまま寝たいな、と考えているといまだに口にメダルを引っ掛けている爆豪がホームに入ってくるのが目に入った。
それにしても眠いな、と目を閉じるAに爆豪は声をかけてきた。

「おい、こんな所で寝んじゃねーぞ。」

「うーん、分かってるけど、ねむい…。」

半分夢の中へと旅立ちそうなAの腕を引っ張りAを立たせた爆豪。丁度到着した電車へとそのまま連れて行く。

Aの降りる駅へと到着した後もその腕は離される事はなく、徐々にその腕は下がっていき、自然と手を繋いでいる状態となる。
どちらも何も言わず静かに歩く。

そしてAのアパートまで来た爆豪はようやくAの手を離して何も言わずに帰って行った。