カーネーション 2【爆豪勝己】 (ページ14)

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名前ページ14

すっかり元気になったAはリカバリーガールにお礼を言って救護室から出るとそこには思ってもいない人物が背中を預ける様にして立っていたので思わず声をかけた。

「爆豪君？」

Aに押し付けるようにジャージを渡した爆豪。
そのジャージはAと爆豪の試合中、爆豪の視界を遮る為に使ったものだった。

「あ、持っててくれたんだね。」

ありがとう、とジャージを受け取ったA。

「…怪我は。」

たった一言だったか爆豪の表情から心配してくれたのだと気付く。

「リカバリーガールに治してもらったから大丈夫だよ！」

「ふん、そうかよ。」

「爆豪君、次決勝戦でしょ？相手は誰になったの？」

「…半分野郎。」

リカバリーガールに怪我を治してもらっていたので試合を見る事は叶わなかったAに爆豪は詳細を教えた。

「轟君か～。強敵だね。」

「んな野郎、叩き潰したるわ。」

「爆豪君らしいね。さっきの試合、本気で戦ってくれてありがとう。」

「あ？んなもん当たり前だろーが。俺はいつだって本気だ。」

知ってる、と言って思わず笑えば爆豪はAを見つめた。

「…ずっとそうしてろ。」

理解出来ずに首を傾げているAに爆豪は自分の頭をくしゃっとしてめんどくさそうに言った。

「だから俺の前では笑ってろって言ってんだよ！分かったか瞬矢。」

思わず口にしてしまった思いに半ばヤケクソに伝えた爆豪。言うつもりなんてなかったのに。

「瞬矢じゃなくてAって呼んで。」

「誰が…。」

「いいじゃん減るものじゃないし！」

「…チッ。」

「じゃあ次呼ぶ機会があれば呼んでね、勝己君。」

「………は？」

そういう自分も苗字で呼んでいたなと考えてそれもなぁと思い名前で呼んでみた。少し照れくさいなんて思いながら爆豪の顔を見たAは驚いた。

「…まっか。」

名前を呼ばれて顔が赤く染まってしまった爆豪。指摘されてしまい爆豪はウッセー！と怒りながらも慌ててそっぽを向いてしまう。そしてどんどん歩いて行ってしまった。
おそらく控室に向かうのだろう。Aは観客席へと戻る為爆豪とはここでお別れだ。

「勝己君！！頑張って！！」

去り行く背中に叫ぶ。無視するかと思いきや振り返った爆豪はフン、と鼻で笑い宣言した。

「俺は誰にも負けねぇ。だからちゃんと見とけよ、A。」

そう言って背中を向けて行ってしまった爆豪。思いがけず名前を呼ばれたAは胸を押さえた。