カーネーション 2【爆豪勝己】 (ページ13)

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強くなるページ13

「ほら、ハリボーお食べ。」

救護室にてリカバリーガールに爆豪との戦いの怪我を治してもらったAはリカバリーガールからお菓子を貰う。貰ったハリボーを食べていても試合に負けた事を思い出してどうしても俯いてしまう。
悔しかった、もう少しやれたのではないかと。

「今は悲しむより、次に向けて頑張りな。」

そんなAを見てリカバリーガールは穏やかに微笑んだ。人生の先輩からアドバイスを受けたAは顔を上げる。

「はい！」

過ぎた事を悔やむより今よりもっと強くなる為に頑張ろう。そして強くなる。立派なヒーローになる為に。
Aは今日の悔しさを糧にもっと前に進むと誓った。

ーーー

一方の爆豪は一足先に決勝相手が決まる相手の試合を見る為に観客席へと戻った。

「爆豪じゃん！お疲れ～！」

相変わらずテンションが高い上鳴を無視して空いている席、切島の隣へと座った。

「よく瞬矢のあの瞬間移動に反応できたよな！さすがだぜ！」

切島に言われた一言に少し考える爆豪。Aの個性である瞬間移動はまさに一瞬で移動するもの。予備動作もいらないその移動はすごくやっかいなものなのは知っていたし、すごく警戒もしていた。

実際に試合をしてみて正直な所、その移動自体には反応出来てはいなかった。
だがそれでも気付くことができたのは。

「……あいつの匂いがしたんだよ。」

「匂い？」

Aが近くに移動して来た時にふわっと香る柔らかい匂い。初めはその正体は分からず匂いのする方へ顔を向けただけだった。だがAが移動する度に香る匂いは疑問から確信へと変わっていった。

爆豪を場外へと出す為にAが自分のジャージを視界を塞ぐ為に顔に移動させた時濃くなったやわらかい香りに包まれ、拘束された時は試合中なのにまずいと思った。
Aに包まれているその状況は嫌ではないと思ってしまったから。むしろ好きな匂いだと。

慌てて意識を戻し、馬鹿な考えを振り払って勝負に出た。

「瞬矢の匂いに反応しちゃったって事？爆豪ってば変～態。」

横でちゃっかり話を聞いていた瀬呂は爆豪をちゃかす。

「だぁぁあ！！っせーんだよ！！クソが！！！」

案の定暴れた爆豪。
やっぱりこいつらには言わなければ良かった、と爆豪は思っても後の祭りでしかない。
飯田と轟の試合が開始されようやく爆豪の怒りはおさまり、怒りの矛先の瀬呂はほっと安堵した。