ある日のお昼 ページ40
「…おい。」
ゴゴゴっと音がしそうな程怒気をまとった爆豪がAを睨む。そんな爆豪から睨まれたAはまさに蛇に睨まれた蛙。固まるA。
「てめぇ、何だよそれは…！」
鬼の顔をした爆豪は指差す。Aの机の上にあるお菓子を。
「えっと、お、お菓子だけど？…爆豪君も食べる…？」
どこからどう見たって普通のお菓子なのに爆豪は一体何を言っているのかだろうか。恐る恐る思った事を言ったA。
「食べる？じゃねぇんだよ！！てっめぇ、昼飯は！！！」
昼休みとなりクラスの面々が食堂へと向かう中またもやお菓子で昼飯を済まそうとするAを見付けた爆豪はキレた。
「えーっと、きょ、今日はお菓子を食べたい気分だなーって、ね？」
誤魔化すように苦笑いを浮かべたAに爆豪はとうとう我慢の限界となった。
爆豪は盛大な舌打ちをし、座っているAの腕を掴み無理矢理立たせる。そしていつかのデジャヴかのようにずんずんと歩き出した。
そんな爆豪に引っ張られるように連行されているAは近くに居た八百万に助けを求めた。
だが八百万はいってらっしゃいとばかりに爽やかな笑顔を浮かべ手を振ってきた。
「(やおもも〜…。)」
見捨てられてしまったAはそのまま食堂へと連行された。
ーーー
「も、もうお腹いっぱ、、んむ！」
「うるせぇ。早く食え。」
お腹が苦しくなる度に箸を止めるAを爆豪は許さない。もう無理、と伝えようと開いた口に突っ込まれたのは爆豪のスプーン。
途端に口の中に広がった猛烈な痛さ。
「いったい！痛い辛い痛い！！」
どうやら爆豪は自分が食べていた激辛麻婆豆腐をAの口へと突っ込んだようだ。
猛烈な辛さによってとてつもなく痛い口内に悶えるAをしたやったと言う顔で見る爆豪。
「み、み、み…。」
水、と言いたくても言えずにいると手に渡されたコップ。すぐにそれを飲み干したAはようやく少し緩和された辛さに今更ながら涙が瞳に膜を張った。
その様子を目の前で見ていた爆豪はというと、ふん、と満足そうにしてそのまま自分の激辛麻婆豆腐を食べ始めた。
「(私はいつか爆豪君に殺されるのだろうか…？)」
身の危険を感じたAだった。
「なぁ、あれ間接キスじゃね？」
「渡したコップも爆豪のだよな？」
「瞬矢に使わせてそのまま自分も使うってあいつ相当…。」
上から上鳴、切島、瀬呂。
比較的爆豪と仲が良い3人は衝撃的な出来事を見たのであった。
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作者名：nanase | 作成日時：2020年10月6日 23時
