新たな委員長 ページ32
「皆さん、大丈ー夫！！！！！」
声のする方を見ると飯田が壁に張り付いて叫んでいた。
「ただのマスコミです！なにもパニックになることはありません、大丈ー夫！」
どうやらセキュリティを突破したのは訳も分からないヴィランなんかではなくただのマスコミ。
ならば慌てる事はない。飯田の必死の説得により、場は鎮まる。
「ひ、非常口……。」
一方のAは必死だった。
一生懸命に説明してくれた飯田にはすごく失礼なのだが、飯田のポーズが非常口の人間のマークに似ていて笑いそうになるのを必死に耐える。
「(ほんと私最低……でも非常口……。)」
自分自身を咎めながらAは飯田を見ないように下を向く。
だが一度ツボに入ってしまった為声を殺すのが限界だ。肩が小刻みに震えてしまうのはどうか許してほしい。
「…？」
そんなAを轟は不思議そうに眺めていた。
ーーーーー
先程の活躍をふまえ、緑谷の提案により改めて委員長は飯田が務める事になった。
セキュリティの件での飯田の活躍はほぼ皆知っている為反対する者は居ない。
「良いんじゃね！飯田食堂で超活躍してたし！！」
「非常口の標識みてえになってたよな！」
切島に上鳴も賛成する。だがAは上鳴が発した非常口、と言う言葉に反応してしまう。
「(！、非常口分かる人来た！！！)」
うんうん、と頷くA。
笑いのツボは既に収まっていた為、冷静な態度でいる事ができた。収まったとというか笑い尽くしたというか……。
飯田は委員長に推薦された事が嬉しいらしく、その目は眼鏡越しでもよく分かるほどに輝いていた。
そんな飯田に激励をかける。
「まかせたぜ非常口！」
「非常口飯田！しっかりやれよー！」
「ぷっ！！！」
Aは耐えきれずにとうとう笑った。
ーーーーー
午後の残りの授業も終わり、帰り支度を終え席から立つ。
「Aさんさようなら。」
「また明日ねヤオモモ〜。」
何人かに挨拶をしてからAはある人物の方へと歩みを向ける。
その人物もAに気が付いた様で顔を上げた。
「轟君。」
「瞬矢か。」
呼ばれた轟は顔色を変えずに淡々と返事をした。
「お昼助けてくれて本当にありがとうね。」
「別に…。」
「それじゃあまた明日ね。」
相変わらずクールな轟に特に深く関わらずにお礼を告げて早々に教室を出たA。
そんな2人の様子を爆豪は不機嫌そうに見ていた。
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作者名：nanase | 作成日時：2020年10月6日 23時
