食堂 2 ページ30
Aはオムライスを半分くらいまで食べ進めた。お腹が満たされてきたところで爆豪の食べているものが気になった。
「爆豪君のってラーメン、だよね？」
「見てわかんだろーが。」
いや、普通のラーメンはそんな色はしていない。爆豪は辛いものが好みらしくて限界まで辛くしたそうだ。
甘党のAにはとてとじゃないけど信じられない。
あろうことか爆豪は真っ赤なスープまで飲み干した。
「……味覚音痴？」
「あ゛？いいから早く食えや。」
驚愕の目で爆豪を見つめるAだったが爆豪の人睨みによってまたオムライスを食べ始める。するとふと横目に映ったものに思わず手を止めた。
「ケーキ！」
Aの大好物であるケーキを持った人が隣を通った。それを見てしまったらもうケーキが食べたくて仕方がなくなる。
でもオムライスを全部食べたらケーキを食べられなくなるかもしれない。
甘いものは別腹、なんてセリフをよく聞くがAはそうではない。もともと少食の為なのもあるし、大好物はお腹が空いている時に食べたい。
もう頭の中がケーキになってしまったAは爆豪の方を恐る恐る見た。
爆豪の方もAの方を見ていたらしく目が合う。
「ケーキを食べたかったらまずそれを全部食え。」
Aの事なんて見透かしていた爆豪はフン、と得意気に言う。
「で、でも、」
「でもじゃねぇ！！」
それ食べ切るまで他は駄目だ、と鬼の形相の爆豪に怒られるA。それがヒーローを目指す者の顔かと思うA。
スプーンが止まる度、爆豪から叱責を受けてオムライスを気合いでなんとか食べ切ったA。
「鬼だ……。」
「飯食っただけで何言ってやがる。チビなんだからもっと食え。」
やり方はどうかといえ、爆豪はAに食事を取らせる事に成功した。まさか一人前を食べさせるのにこんな苦労するとは思わなかった為、ため息をつく。
AもAで、こんな無理矢理食べさせられると思わなかった為お腹の苦しさも相まって息をついた。
「お昼ごはん、久しぶりにちゃんと食べたかも…。」
お腹をさすりながら呟くA。お腹一杯になってしまった為、ケーキは食べれなくなってしまった。
あ、と良い案を思い付いたA。
「爆豪君、ケーキ半分こしない？」
「するか！アホ！！」
即答だった。
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作者名：nanase | 作成日時：2020年10月6日 23時
